ブランディングが9割 ㊲
・推奨(Advocate)のことを考えたパッケージデザイン
5A理論では「推奨」をゴールとしているわけですが、そこには2つ意味が
あります。
1つは、購入したお客さんが、SNS上で「これよかったよ」と友人知人に
紹介するということ。
もう一つは、「私はこれを使っている人間なんだ」という自己表現的な
意味合いです。第5章でお伝えした、「自己表現的価値」があるかどうかが、
より重要になってくるということです。
例えばドラッグストアに並ぶ商品は、原色を使い、大きな文字で機能を
訴求しているものが目立ちます。大量の商品が陳列されていて、一瞬で
通り過ぎてしまうお客さんに「私ここにいるよ!」とアピールしなくては
ならないので、当然といえば当然でしょう。しかし昨今では、派手な
パッケージの商品を自分のまわりに置きたくないというニーズから、
デザインセンスのある日用品が登場しています。
LOHACOやマツモトキヨシ、カインズなどで、暮らしのファッションを
意識したスタイリッシュなデザインの商品が増えてきています。
主婦にとって、キッチン回りは自己表現の場でもあります。
以前は、ママ友が遊びに来ることで、「私のキッチン」の自己表現ができ、
承認欲求が満たされていました。
現在では、SNSの発達によって自己表現がしやすくなりました。
それに伴い、ブランドの「らしさ」を訴求するパッケージデザインは、
商品が店頭で目立つことよりも、消費者の自己表現欲求を満たすための
ツールになってきているのです。
✔ 現在地と目指す姿とのギャップを常に確認する
ブランドの目指す姿はどこなのか。それと比較して自分のブランドは一体
いまどの辺にいるのか。
ブランディング活動では、常にそれを確認しなければなりません。
昨年より良くなったのか悪くなったのか、どこをどう改善すべきかなど、
定期的に測定していきましょう。
例えば、ブランドが求める「らしさ」が「快適なくつろぎ空間」だったと
します。しかし、お客さんへのアンケートで「快適なくつろぎ空間」が
あまり提供できていないということがわかったのなら、どこが原因で何が
課題かを確認し、課題を解決するための施策を打たなければなりません。
人間が健康診断を行うのと同じように、ブランドも毎年健康状態を確認して、
未充足の部分を克服し、最高の状態に持っていきたいものです。
調査はサービスが提供できる地域に限定して行い、以下を中心に測定して
いきましょう。
□ 認知度
どれくらいの割合でブランドが認知されているか。
ベンチマークとしている競合と比較して、認知率はどれくらいか。
□ 理解度
ブランドを認知している人の中で、どれだけの人がブランドの特徴や
提供する商品・サービスを理解しているか。
□ 好意度
ブランドを理解している人の中で、どれだけの人がブランドに好意を
持っているか。
□ 愛着度
ブランドに好意を持っている人のうち、どれだけの人が友人に利用を
促してくれたり、口コミを行ってくれたり、推奨してくれたりしているか。
ブランドロイヤリティ(ブランドへの忠誠心)の高い人がどれだけいるか。
1年に1度の頻度でトラッキングし、KPI(重要業績評価指標)を設定するなど、
目標を管理するとよいでしょう。もちろん予算が許されるなら、調査会社を
利用して、以上の4つ以外も詳細に確認したいところです。
また、定期的にお客さんを集めた座談会やグループインタビューを行ったり、
利用者にアンケートを取るなど、常に顧客満足度やリピート意向もチェック
しましょう。具体的な改善事項が見つかれば、改善できるところは改善し、
PDCAを回してより良いブランドに育てることを心がけてください。
この続きは、次回に。