「D・カーネギー 人を動かす」⑭
10. 美しい心情に呼びかける
● アメリカの大銀行家であり、美術品収集家として有名なJ・P・モルガンは、
人間の心理を分析して
「通常、人間の行為には二つの理由がある。
一つは、いかにも美しく潤色された理由、もう一つは真実の理由である」と
言っている。
真実の理由は、他の者がとやかく言わなくても、当人にはわかるはずだ。
人間には誰でも理想主義的な傾向を持ち、自分の行為については、美しく
潤色された理由をつけたがる。そこで、相手の考えを帰るには、この
美しい理由をつけたがる気持ちに訴えるのが有効だ。
□ 潤色
「潤色」の意味は 色をつけ光沢を加えること。
● 「相手の信用状態が不明な時は、彼を立派な紳士と見なし、そのつもりで
取引を進めると間違いがないと、私は経験で知っている。要するに、
人間は誰でも正直で、義務を果たしたいと思っているのだ。
これに対する例外は、比較的少ない。人をごまかすような人間でも、
相手に心から信頼され、正直で公正な人物として扱われると、なかなか
不正なことはできない物なのだ」
【人を説得する原則⑩】
人の美しい心情に呼びかける。
11. 演出を考える
● 現代は演出の時代である。単に事実を述べるだけでは十分ではない。
事実に動きを与え、興味を添えて演出しなければならない。
興行的な手法を用いる必要がある。
映画、ラジオ、テレビなど、皆この手法を使っている。
人の注意を引くには、これによるのが何よりも有効だ。
● 「私は前の時と同じ事実を提供したのだが、この時は、演出効果を
狙った点が違っていたのだ。興行的な手法にこれほど効き目があるとは
知らなかった」
【人を説得する原則⑪】
演出を考える。
12. 対抗意識を刺激する
● 「仕事には競争心が大切である。あくどい金儲けの競争ではなく、
他人よりも優れたいという競争心を利用すべきである」
優位を占めたいという欲求、対抗意識、負けじ魂、男の気迫に訴える
のだ。
● ファイアストン・ゴム会社の創設者ハーヴェイ・ファイアストンは
こう言う—-
「給料さえ出せば人が集まり、人材が確保できるとは限らない。
ゲームの精神を取り入れることが必要だ」
● 「仕事への意欲を最も強くかき立てる要件として、発見したのは何で
あったか? 最大の要件は、仕事そのものだったのである。
仕事が面白ければ、誰でも仕事をしたがり、立派にやり遂げようと
意欲を燃やす。
成功者は皆ゲームが好きだ。自己表現の機会が与えられるからだ。
存分に腕をふるって重要感を得たい願望、これを刺激するのだ。
【人を説得する原則⑫】
対抗意識を刺激する。
この続きは、次回に。