リテールマーケティング ④
2. 消費者を取り巻く環境変化の動向
—令和元年版消費者白書より–
ここで基本となるのは、消費者庁「令和元年版消費者白書」です。
毎年、データが発表されますので、下記の「テキスト」を参考に分析
しましょう。
—-テキストより—–
情報通信技術の急速な発展などにより、世界的に社会経済情勢が急速に
変化するなかで、日本でも人口減少や少子・高齢化、世帯の少人数化など
消費者をめぐる社会経済情報が変化しており、それに合わせて消費者の
消費生活も大きく変化してきた。
規制改革や情報通信技術の高度化、国際化の進展などにより、新しい商品や
サービスが次々に登場し、消費者の利便性はますます向上してきている。
しかし、他方で、消費者問題の複雑化や国際化、消費者トラブルに巻き
込まれやすい消費者の増加など、新たな課題も生じてきた。
ここでは、消費者庁「令和元年版消費者白書」にもとづき、消費者庁および
消費者委員会の設置以降を中心に、社会経済情勢の変化と消費者の消費
生活について主なところをみていく。
① 小子・高齢化の進展と人口減少
現在の日本では出生率の低下により少子化が進行し、人口は減少局面を
迎えている。他方で、平均寿命の延伸に伴い高齢人口は増加しており、
超高齢社会を迎えている。小子・高齢化、人口減少は今後ますます進行
していくことが予測されており、このような人口構造の変化に合わせて
消費者の消費生活も変化していくことが考えられる。
【 超高齢社会 】
一般に、65歳以上人口の割合が7%超で「高齢化社会」、14%超で
「高齢社会」、21%超で「超高齢社会」と分類されている。
特に、人口構成に占める高齢者の割合の高まりは、高齢者による消費活動の
拡大や高齢者向けの商品・サービスの充実に寄与する。
その一方で、認知症などで判断力が低下した高齢者を狙った悪質商法の
増加など、高齢者の消費者トラブルも増えていくことが懸念される。
○ 「日本の人口推移」参照
出所:消費者庁「令和元年版消費者白書」
② 世帯の少人数化と経済格差の緩やかな拡大
晩婚化や未婚化の進行、核家族化などに伴い、世帯の少人数化が進み、
単身世帯も増えてきている。また、高齢化や経済の低成長などを背景に、
経済的格差が長期的には緩やかに広がってきており、自立して消費生活を
送ることが困難な消費者(単身高齢者や障害者、貧困世帯など)に対する
消費者保護のあり方が課題となっている。
③ コンビニや外食・中食の利用が増加
世帯の小規模化や女性の社会進出による共働き世帯の増加を背景として、
消費者の生活スタイルも変化してきた。
手軽に買物ができるコンビニエンスストアやドラッグストアなどの利用が
増えているほか、家事負担の軽減などのため、外食や調理済食品を購入する
中食の利用が増えている。
【 中食 】
惣菜店やスーパーマーケット、コンビニエンスストアなどで弁当や惣菜を
購入したり、外食店のデリバリーなどを利用して、家庭外で商業的に調理・
加工されたものを購入して食べる形態の食事。
○ 「小売店舗形態別販売額の推移」参照
出所:消費者庁「令和元年版消費者白書」
この続きは、次回に。