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リテールマーケティング  ⑫

3. OMO

 

(1) OMOとは

 

OMOは「Online Merges with Offline」の略称で、直訳すると「オンラ

インとオフラインの併合(融合)」という意味になる。

 

その特徴は、オフラインとオンラインの垣根をつくらず2つを融合させ

ながらビジネスを行うことにある。

これまでは、オフラインをベースとしてビジネスを組み立てるスタイルが

主流だったが、OMOは、オンライン・オフラインそれぞれの顧客データを

1つに取りまとめ、双方に紐づけるなど、オンライン・オフラインをリンク

させながらビジネスを構築することで、より顧客にとって利用しやすい

環境を整えることができる。

 

(2) OMOとO2O・オムニチャネルの違い

 

OMOとO2O・オムニチャネルとの大きな違いは、オフラインとオンラ

インを明確に区別しているかどうかという点である。

 

O2Oは、オンラインを活用しオフラインの購買を促進するというマーケ

ティング施策であるため、オンラインとオフラインの区別ははっきりと

している。

オムニチャネルもオンライン・オフラインを併用する方法ではあるものの、

O2Oと同様、それらの区別は明確である。しかし、OMOはオンラインと

オフラインの区別をなくし、一体化した環境での利用を想定している。

リアルショップとECの垣根をなくした総合的なマーケティングを行い、

顧客の購買意欲を高めるだけでなく、さまざまな体験をさせることを目的と

している。

現時点では、日本におけるOMOは世界と比べてあまり進んでいない。

その背景として、日本の市場はオフラインのリアルショップが未だ多くの

割合を占めていることが大きいと考えられる。

オンラインを利用してさまざまな情報を発信しながら、リアルショップへの

集客をねらう手法は一般的になりつつあるが、オンラインとオフラインは

まだはっきりとした区別がつけられている。したがって、これからいかに

オンラインとオフラインを融合していくかが課題となってくるといえる。

 

4. D2C

 

(1) D2Cとは

 

D2Cとは「Direct to Consumer」の略称で、デジタル技術を活用して

消費者に商品を直接販売するビジネスモデルである。

“Direct”という言葉のとおり、自社で企画・製造した商品を、ECモール

(仲介業者)を介さずに自社のチャネルで直接販売するモデルであり、

スタートアップ企業やベンチャー企業だけでなく、近年では大企業や

有名ブランド企業でもD2Cを取り入れた事業を展開している。

また、D2Cブランドの企業が、「実際に商品を見てみたい、触ってみたい」

という顧客との接点を実際につくる目的から、体験を重視したリアルシ

ョップを設置するケースも増えている。

D2Cが注目されている背景には、SNSやブログを使用したマーケティン

グにより、企業が直接消費者とコミュニケーションをとりやすい環境に

なっている点がある。

 

(2) D2Cのメリット

 

D2Cがもたらすメリットには、次のようなものがある。

 

一、コスト削減ができる

 

ECモールを介さないため、中間コストを削減でき、リアルショップを

運営するための諸経費(人件費、テナント料などの固定費)も削減できる。

その分、商品の品質を高めたり価格を下げたり、マーケティング施策を

改善したりすることが可能になる。

 

二、効果的にブランディング戦略ができる

 

商品の企画・製造・販売を自社だけで行うため、自社のビジョンやブラ

ンドに込めた思いを直接、顧客に伝えることができる。

顧客が自社のECサイトで買物をする過程でブランドのストーリーや世界観に

入り込むことで、自社のビジョンに共感できるコアなファンを獲得しやすく

なる。たとえば、アメリカの企業では、“到底的な透明性”というブランド

コンセプトを顧客に伝えるために、商品の販売時に原価率や工場の様子を

すべてオープンにしているところもある。

 

三、顧客データ収集と活用がスピーディにできる

 

自社のECサイトを通じて顧客データを容易に収集できる。また、サイトの

滞在時間や離脱率などのデータも直接収集、蓄積できるため、新商品の

開発をはじめ各種のマーケティング施策にスピーティに反映することが

できる。

 

こうしたメリットの一方で、

 

① 自社でECサイトを整備したり、生産・流通の仕組みを構築する必要が

     降るため、

 

② 独自に消費者の認知を獲得しなければならないため、プロモーション

     活動などのマーケティング戦略が重要である。

 

③ 基本的にオンラインでビジネスが完結するため、消費者が実際に商品を

     手に取って確認しにくい。

 

などのデメリットもある。

そのため、D2Cブランド企業のなかには、返品保証制度のサービスを設ける

ことでデメリットを補っているところもある。

 

 

この続きは、次回に。

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