リテールマーケティング ㉛
3. DM広告の実践
(1) 感謝の気持ちを込めて手紙を書く
次のように、相手を思いながら、手書きの手紙を同封する。
今年も、ご贔屓にあずかり、誠にありがとうございました。特に、
山下良子様は、今年1年間のお買上金額が上位にランクされるほど、
当店に何度も足をお運びいただき感激に堪えません。
このたび、誠に勝手ながら当店の上得意(ゴールド会員)様として、
ささやかながら感謝の意を表したいと存じます。同封のクーポン券
(20%オフ)は、山下様に限定して送らせていただくものです。
3か月間、いつでも当店全ての商品のご購入にご利用できます。
どうぞご活用くださいませ。
山下様は当店にとって特別なお客様です。今後とも当店をよろしく
お願い申し上げます。
まもなく新しい年がやってまいります。私ども従業員一同、山下様ご
家族がご健康でよいお年をお迎えになりますよう心からお祈り申し上げ
ます。
(2) DM広告作成上のポイント
DM広告の封筒には、手紙とクーポン券のほか、手作りの情報誌を入れ
ると効果的である。
そのDM広告の作成ポイントは、次の“3K”にある。
・「感謝」のK—今年1年のお礼を込めて感謝の意を表す。
・「敬意」のK—上得意様に「特別」という敬意を示す。
・「健康」のK—-目的別に健康やファッションなどの情報を発信する。
(3) 送付にあたってのキーポイント
① “旬”商品をDM広告で認知させる
小売店は、必ず時季ごとに柱(利益)商品を設定すべきである。
それを推奨して利益を確保することが大切である。
それには、推奨したい商品を“旬”商品に仕立て利益を確保することが
大切である。それをDM広告によってPRし、責任を持って管理する旨を
顧客に伝えて信頼してもらう。つまり、販売の軸となる商品は“旬”商品
から選ぶことが重要といえる。
② 季節に先駆け、どこの店舗よりも早く、目立たせるようにして出す
季節商品の必要な時季にDM広告を出しても効果は表れにくい。
すでに多くの競争店が同じような季節商品を特売しているからである。
季節商品が特売されるころには、商品価値が大幅に低下してしまう。
したがって、その季節に先駆けて“旬”商品を決定し、どこよりも早く
DM広告を出すことが重要である。ただし、DM広告は一定の法則に
従って出さなければ効果はみられない。
たとえば、年賀状は年始に大勢の方々から届くため、当たり前の行事と
して受け止めるので、あまり感動的とはいえない。しかし、年の瀬には
どこの家にも特別の郵便物は届かないはずである。
せいぜい、遅めのお歳暮ぐらいである。
その時期にDM広告に工夫を凝らして送れば、中身をみてくれる確率が
高まる。ただし、DM広告には、“旬”商品の意味や使い方をわかりやすく
解説した案内書とクーポン券、そして新商品のサンプルを同封するなど、
正しい知識や新しい情報を提供することが必要となる。
「どこの季節商品でも同じだ」という認識を顧客に持たせる前に、独自の
使い方を提案すべきである。
③ 1年の感謝の気持ちを込めて対象顧客を特別扱いする
ただ単に、すべての顧客にDM広告を送ると全体としての効率が低下する。
そこで、品種を限定して、その年間購読金額の上位顧客などを対象とする
ように、顧客を絞り込む。そのうえで、特別な存在(優良顧客)であることを
明記し、感謝の気持ちを表現することが重要である(前頁の文面例参照)
④ クーポンをつけて来店しやすくする
来店を促すためには、日ごろの感謝の気持ちを表すクーポン券を同封すると、
DM広告のヒット(回収)率はぐんと高まる。特に重要なのは、クーポン券の
利用対象商品を限定しないことである。
店内にある商品すべてに使用できることが顧客にとってのメリットである
ため、限定した商品がその顧客にとって不要な場合、何のメリットにも
ならないからである。
この続きは、次回に。