書籍「すごい物流戦略」② Amazon
■ポーターの3つの競争戦略
コストリーダーシップ戦略—競争相手と同じ価値の製品・サービスを
低コストで市場に提供するか、同じコストで高い価値の製品・サービスを
提供することで競争優位を構築する戦略。
差別化戦略—競争相手には無い独自性や特異性による付加価値によって
競争優位を構築する戦略。製品設計、ブラインドイメージ、技術、ノウ
ハウ、製品・サービスの特徴、顧客サポート、流通チャネルなどによる
差別化がある。
集中戦略—特定の顧客、特定の商品、特定の地域など特定のセグメントに
ターゲットを絞り、経営資源を集中させることで競争優位を構築する戦略。
絞り込んだターゲットに対してコスト戦略をとるのを「コスト集中化」、
差別化戦略を展開するのを「差別化集中戦略」という。
出典:M・E・ポーター著『新訂 競争の戦略』(ダイヤモンド社)
■ ロジスティックはビジネスモデルそのもの
日本企業トップの多くが信奉者になっているドラッカーは、1962年、
「ロジスティックは、最後の暗黒大陸だ」と語り、それを見聞きした
経営者はハッとしました。
当時、アメリカでも、ロジスティックコストの算出の重要性が意識されず、
そのコストの妥当性がわからなかったのです。
それから半世紀以上経ち、「物流を制する者が市場を制す」と言う言葉も
語られるくらいに、米国では、その重要性がよく理解されていますし、
見える化もされています。
しかし、日本では残念ながら、この重要性が理解されていないどころか、
「暗黒大陸のままで、手をつけられない」と嘆く経営者も多くいます。
もちろん、その重要性をきちんと理解している企業は、成長力もある
立派な企業になっています。
アスクルのビジネスモデルは、戦略物流の戦略レベル、戦術レベル、戦闘
レベルともに逸品です。ほかにも、カルビー、ヨドバシカメラ、トラスコ
中山、サンコーインダストリーなどが、ロジスティクスの重要性を理解し、
それに磨きをかけることで、成長を続けています。
では、物流の専門家ではない人は、どうやって自社の物流戦略を立案して
いけばいいのでしょうか。どこかの段階で、外部の専門家や物流業者、
あるいは社内の物流担当部門の力を借りることになりますが、ベースと
なるものは自分で作らなければいけないはずです。
そのための有効なフレームワーク「物流戦略の4C」を本書の「終章」で
紹介しますが、圧倒的な競争力を生み出している「すごい物流戦略」の
具体的事例を知っておくことも重要です。
そこで本書では、アマゾン(第1章)、ニトリ(第2章)、アイリスオーヤマ
(第3章)、ZARA(第4章)、DHL(第5章)の物流戦略を解説していきます。
また、「オムニチャネル」(第6章)についても1章を割いて解説していきます。
じっくり線を引きながら、お読みください。
この続きは、次回に。