Coffee Blake-令和3年7月8日(木)「早稲田会議」⑧
Roundtable E-2
人生100年時代の企業と従業員
サイボウズ社長/青野 慶久、テルモ会長/三村 孝仁、
ビジョナリーホールディングス社長/星崎 尚彦、
三井倉庫ホールディングス社長/古賀 博文、メディヴァ社長/大石 佳能子、
横河電機会長/西島 剛志、ロート製薬会長/山田 邦雄、
品川女子学院理事長/漆 紫穂子、早稲田大学ビジネススクール教授/長谷川 博和、
すべての「個」を成長の源泉に
日本企業は「成長」の概念を変えることができるだろうか。
成長は業績の向上や会社の規模拡大であり、それは数字で示せる明確な
ものだった。だが、DXによる事業環境や社会の大きな変化はそれを複雑化
している。例えば、日本企業の強みである従業員たちの高い帰属意識は
ジョブ型雇用の浸透や人の流動化を阻み、新型コロナ禍で一気に進む
働き方の変化もそれを楽しむ人と戸惑う人に分かれた。
業績が上向きであってもこの状況を成長と捉える事はできない。
企業や社会の成長の源泉は「個」が輝くことだ。そしていま、「個人の
自立」が社会をさらに成長させる時代へと成熟した。高度成長期には企業が
従業員を会社のものだと思い込み、彼らにも思い込ませてきた。
企業風土に染め上げてしまう人材育成は、個性を見極めてそれを伸ばす
ものではなかったが、それは組織力やチームワークで成長することで世界と
肩を並べようとした時代だったからだ。
企業リーダーはいまこそ個と向き合うべきだ。若者たちは組織の成長戦略に
活躍の場を見つけられずにいる。個と共に成長するビジョンを明確に示し、
100歳までのキャリアプランを一緒に組み立てることで、企業や社会は
進化する。
個も自らを輝かせる決断をし、努力をしなければならない。
デジタルテクノロジーに働き方を決められるのではなく、それを駆使して
自らが働き方をデザインするのだ。
いま社会に起きている変化の本質はテクノロジーそのものにはなく、それが
生み出す価値基準の変化にある。性別や年齢、肩書はビジネスの能力を
判断する基準ではなくなり、グローバルに展開するチャンスは様々な地域に
生まれた。個がベンチャーや地方の地場産業など、様々な企業を行き来
できるような循環型社会を目指すこともできる。
企業がダイバーシティや人の流動化を推進する理由は、多彩な個が多様な
地域でイノベーションを創出することを期待しているからだ。
社会で活躍する個に年齢は関係ない。学生であれ定年間近であれ努力さえ
すれば幸せに働くチャンスはテクノロジーが平等に与えてくれる。
我々は誰も経験をしたことがない超高齢化社会を歩み始めている。
新たな長寿社会を世界に示すことができるかどうかは、いま個がどんな
生き方を選択するかにかかっている。
● DX
DX(Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション)とは、
進化したIT技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものへと変革
させるという概念のことです。
● 帰属意識
「ある集団に属している、またはその集団の一員であるという意識や感覚」を
意味する言葉で、元々は心理学用語のひとつでした。
ここで言う集団とは、家族や会社、学校、宗教、自治体、さらに国や民族など
大小あらゆる単位で用いられます。2021/02/10
● ジョブ型雇用
従業員に対して職務内容を明確に定義し、労働時間ではなく成果で評価
する雇用制度です。 欧米諸国で広く普及しています。
職務内容や勤務地を限定せず、スキルよりも会社に合う人材を雇用する
制度のことで、日本ではメンバーシップ型雇用が一般的です。2021/04/13
● 浸透
1. 水などが、しみとおること。「雨水が地下に浸透する」「堤防の浸透破壊」
2. 思想・風潮・雰囲気などがしだいに広い範囲に行きわたること。
「新しい生活様式が国民に浸透する」
3. ある液体または気体が、半透膜を通過して、他の液体または気体と
混じり合い拡散する現象。「浸透圧」
● 流動化
流れ動くようにすること。 流動させること。 「流動」とは、停滞する
ことなく移動すること。
● キャリアプラン
仕事や働き方の将来像(キャリアビジョン)を実現するために作成する、
具体的な行動計画のことを指します。
将来像をかなえるために必要なスキルや経験を洗い出し、逆算して計画を
立てると、いつまでに何をすべきかが見えてきます。2020/11/27
● グローバル(global)
「地球規模の」「球状の」などを表す英語から来ています。
「国境を越えて地球全体にかかわるさま」を表し、「世界的規模の」と
いう意味でも使われます。 また、コンピューター関連では「汎用の」
「広域の」などの意味でも用いられます。2006/05/08
● ベンチャー(venture)
冒険。冒険的な企て。また、投機。
● 地場産業
特定の地域にその立地条件を生かして定着し、特産品を製造している産業。
瀬戸の陶磁器、南部の鉄器など。地場産。
● 循環型社会
循環型社会(じゅんかんがたしゃかい)とは、有限である資源を効率的に
利用するとともに、循環的な利用(リサイクルなど)を行って、持続可能な
形で循環させながら利用していく社会のこと。
● 超高齢化社会
65歳以上の人口の割合が全人口の21%を占めている社会を指します。
この割合は、次の式で求めることができます。
国全体の高齢化率は、先進国の方が高く、発展途上国の方が低くなる
傾向があります。 現在の日本は、世界に先駆け、超高齢社会に突入して
いることになります。2019/08/01
● 健康長寿社会
健康長寿社会とは、「国民が健やかに生活し、老いることができ、更に
医療関連産業の活性化により世界最先端の医療がリーズナブルなコストで
受けられ、また、 病気や怪我をしても良質な医療への早期アクセスに
より、直ぐに社会復帰ができる社会」である。2013/03/29
以上となります。
少しでも、ご参考になれば幸いです。
私は、「これからの時代を考えて」、「学び、働き、生活していく」必要が
あると感じます。
「現在、未来」にマッチしない、または衰退する、縮小する等々の知識の
享受や仕事での業種、業態の選択等は、自分の人生にとっては非常に重要
ではないかと感じます。
私の時代は、一旦就職した会社は「定年」まで勤務する、という考え方が
主流で、中途退職や転職というのは、良いイメージではありませんでした。
私の場合は、「製造業-品質管理」から「飲食業」に転じ、実務経験を
経ることで、給与、待遇、役職等が向上しました。また、ちょっとした
転機で管理業務に携わることになり、そのおかげで、管理部門の責任者と
して「定年」を迎えることができました。
現在、「働き方改革」や「人生100年時代」、「超高齢社会」「少子高齢化
社会」「認知症」「老老介護」など、「現在、未来」に関するキーワードが
たくさんあります。
副業・兼業推進、多様性ある人材求む、コミュニケーション能力が必要、
等々と企業が求める人材像も変わってきました。
社会が変化していく中で、企業も変化していきます。そして、企業で働く
社員にも変化が求められていきます。
私の社会人時代とは異なる社員像が求められるのですから、日々の「学ぶ
-リカレント、働く-ワークスタイル、生活する-ライフワーク」が大切だと
思います。このような考え方を持つか、持たないかでは、「人生設計」に
差が生じるのではないかと思います。
若い世代の方々に対して、「期待とエール」を送ります。
新型コロナウイルスの影響を逆手にとって、これからの「人生設計」を
考えてみるのも、良いと思いますが。
2021.7.9 「私見追加」
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美