Coffee Blake-令和3年8月17日(火)「メンタルヘルス」②
—インターネットより、抜粋—
メンタルヘルスとは?
不調の原因や対処法、
職場のメンタルヘルスマネジメントに
ついて説明します
2021/05/24
メンタルヘルスとは「心の健康」のことです。
仕事について悩みやストレスを感じている人の増加に伴い、働く人の
メンタルヘルスが重要視されています。
この記事ではメンタルヘルス不調の原因や現れ方、対処法と、職場の
メンタルヘルスマネジメントの体制作りについて説明します。
● 働く上でこんなお困りありませんか?
当てはまる質問を1つ選んでください
・体調がなかなか安定しない
・働いても長く続かない
・こんな自分でも働けるのかわからない
・人間関係がうまくいかない
・就職したいが何から始めればいいのかわからない
・なかなか就職が決まらなくて不安
目次
● メンタルヘルスとは
● 職場におけるメンタルヘルス不調の原因
● メンタルヘルス不調の現れ方
●メンタルヘルス不調に気づいたときの対処法
● 職場のメンタルヘルスマネジメント
● まとめ
✔ メンタルヘルスとは
メンタルヘルス(mental health)とは、「心の健康」という意味の英語です。
日本では単に「心の健康」だけでなく、「心の健康の回復、維持や増進
(にまつわる状況)」を指す意味合いで使われることが多いようです。
● 働く人のメンタルヘルスが重要視されている
近年、働く人のメンタルヘルスの重要性についての認識が高まっています。
背景には、仕事について悩みやストレスを感じている人の数が増えている
状況があります。
職場のメンタルヘルス不調が原因で起こりやすい疾患の代表的なものに
精神疾患がありますが、精神疾患の労災補償支給決定件数は年々増加し、
2017年には過去最高の506件を記録しています。
このように職場のメンタルヘルスは、いまや社会的な課題であるといえます。
● メンタルヘルス不調とは
厚生労働省の「労働者の心の健康保持増進のための指針」はメンタルヘルス
不調を「精神および行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、
ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活および
生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く
含むもの」と定義しています。
つまりメンタルヘルス不調とは精神疾患のみを指すのではなく、悩みや
不安を抱えている状態も含むのです。
厚生労働省の調査では、仕事に関し「強いストレスとなっている」と感じる
事柄がある働く人の割合は2017年に58.3%に達しています。
この状況を踏まえて国は働く人のメンタルヘルス不調の防止対策を推進して
おり、法律改正を行うほか、多くの指針やガイドラインを打ち出しています。
のちに述べる「ストレスチェック制度」もこれらの対策の一環です。
✔ 職場におけるメンタルヘルス不調の原因
厚生労働省の調査で挙がっている「強いストレス」の内訳をみると、
「仕事の質・量」が 62.6%と最多で、次いで「仕事の失敗、責任の
発生等」が 34.8%、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」が
30.6%となっています。
しかしメンタルヘルス不調は単独の原因ではなく、複数の要因が重なって
起こることが多いと考えられています。
● 新たなストレス要因「ハラスメント」
近年、さまざまな形のハラスメントもストレス因子として広く認識される
ようになりました。ハラスメントとは心理的暴力や嫌がらせのことで、
職場では以下のようなハラスメントが問題となることがあります。
① パワーハラスメント:
職権などのパワーを背景にして、本来の業務の範疇を超えて、継続的に
人格と尊厳を侵害する言動を行い、それを受けた人の働く環境を悪化
させたり、雇用不安を与えたりすること
② セクシュアル・ハラスメント:
職場において働く人の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否する
などの対応により解雇、降格、減給などの不利益を受けること。
または、性的な言動により職場の環境が不快なものとなったため、
働く人の能力の発揮に悪影響が生じること
③ アカデミック・ハラスメント:
研究・教育の場における権力を利用した嫌がらせ
④ アルコール・ハラスメント:
飲酒に関連した嫌がらせや迷惑行為、人権侵害
⑤ モラルハラスメント:
言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人の人格や尊厳を
傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人が職場を辞め
ざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせること
● 当てはまる項目を1つ選んでください
・障害者雇用の求人や条件を一度見てみたい
・安定して長く働ける職場を見つけたい
・今より好条件の職場で働きたい
・もっと配慮のある職場で働きたい
・ハロ―ワーク未掲載の求人を知りたい
・できるだけ早く転職したい
● メンタルヘルス不調の現れ方
メンタルヘルス不調は疾患につながることがあり、最悪の場合には事故や
自殺行為を引き起こす危険性もあります。したがってメンタルヘルス不調の
兆候を知っておき、早期に対処することが大切です。
そのためには、普段の様子と異なることに本人や周囲の人が気づくことが
重要となります。
● ストレスの3段階
カナダの生理学者ハンス・セリエは、体がストレスにさらされると、
時間の経過とともに以下の3つの段階を経るという説を唱えました。
メンタルヘルスの分野では、この経過はメンタルヘルス不調の前触れを
知るための手がかりになるとして参考にされています。
1. 警告期
体に過度なストレスがかかり始めていることを示す軽い症状が出る
段階。血圧の変動や肩こり、頭痛やだるさなどの症状が現れる
2. 抵抗期
体には警告期よりも大きなストレスがかかっているが、自律神経がスト
レスに対処しようと抵抗するため、調子が良くなったように思える段階。
仕事のパフォーマンスや集中力が上がることがある
3. 疲憊(ひはい)期
体の許容範囲を超えてストレスがかかり、心身ともに疲れ果ててしまう
段階。やる気が起きない、体が思うように動かないなど、自分ではコント
ロールできない状況になる
● 働く人のメンタルヘルス不調で起こりやすい疾患
ストレスの体への現れ方は、人により異なります。働く人がメンタル
ヘルス不調になった場合に起こりやすい疾患には、うつ病や双極性障害、
不安障害、適応障害などの精神疾患があります。
また、脳梗塞や心筋梗塞などの脳・心臓疾患との関連も指摘されています。
脳・心臓疾患は加齢や生活習慣などに伴い徐々に進行する疾患ですが、
長時間労働による睡眠不足や仕事のストレスにより間接的にリスクが
高まると考えられています。
✔ メンタルヘルス不調の兆候
メンタルヘルス不調が疾患へと発展する前には、心身に以下のような
兆候が見られることがあります。
「いつもと違う」変化に気づくことが重要です。
● 業務上の兆候
□ 出退勤の変化
・理由が明確でない離席、休憩が増える
・遅刻・早退・有給休暇の取得が増える
・無断欠勤をする
・業務負荷が変わらないのに、退社時間が遅くなる
□ パフォーマンスの低下
・業務の進捗が滞る、メールの返信や書類提出が遅れる
・アウトプットの質が落ちる
・会議や打ち合わせでの発言がなくなる、会議を欠席する
・報告・連絡・相談がなくなる
・業務上のミスや事故が起こる
□ 行動面の変化
・挨拶をしなくなる
・服装や髪型が乱れる
・対人関係のトラブルが起きる
・突然泣き出す、独り言が増える など
● 心身面での兆候
□ 心に現れる症状
イライラする、悲しくなる、不安になる、焦りがでる、やる気が出ない、
物事に集中できない、自分を責める、など
□ 体に現れる症状
吐き気、食欲がない、眠れない、肩こり・背中・腰の痛み、耳鳴り、頭痛、
頭がボーっとする、動悸がする、だるい、微熱、など
✔ メンタルヘルス不調に気づいたときの対処法
メンタルヘルス不調の兆候に自分で気づいたときは、以下のような対応を
早期にとることで、不調を深刻化させないことが重要です。
● メンタルヘルス不調のセルフケア方法
健康的な生活習慣は、疲労の蓄積を防ぎ、気持ちを活性化させ、仕事への
モチベーションアップにもつながります。
下記の4項目を生活のなかに上手に取り込んでいくことが大切です。
① 良い睡眠をとる
・毎朝同じ時間に起床し、日光を浴びる
日光は、目を通じて体内時計を刺激し、一日の行動に適したリズムを
作ります。目が覚めたら、適度な日光を浴びて、毎朝同じ時間に起床
するようにしましょう。
・睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
必要な睡眠時間は、人それぞれで個人差があります。年齢を重ねると、
必要な睡眠時間は短くなる傾向があります。
少なくとも、5~6時間以上の睡眠時間は確保するように心がけましょう。
・眠る前にリラックスした環境をつくる
コーヒーや緑茶に多く含まれるカフェインは寝つきを悪くしますので、
眠る前は控えるようにしましょう。
軽い読書や音楽、香り、ストレッチなど、自分にあった方法で、心身
ともにリラックスし、眠くなってから寝床につくようにしましょう。
② 正しい飲酒習慣、寝酒は避ける
寝酒は、寝つきはよくなりますが、眠りが浅くなり、疲労の回復を
妨げます。また、お酒を連用すると、同じ量では寝つけなくなり、
精神的・身体的な問題につながります。
③ 規則正しい食事
朝食をとることで、自律神経が活発になり、いい一日のスタートが
できます。夕食が遅い時間になると朝食が摂取できなくなります。
3食、規則正しく食べましょう。
④ 運動習慣の維持
適度な運動習慣は、夜間の睡眠を安定させ、睡眠の質を良くします。
1日30分週2~3回程度、軽く汗ばむ程度を無理なく長続きすることが
大切です。
● 上司や相談窓口に相談する
業務についての悩みは、部内の事情をよく知る直属の上司に相談すると
良いでしょう。上司に相談しにくい場合は、社内や社外に設置されている
相談窓口などに相談する方法もあります。
● 医療機関を受診する
上司や相談窓口に相談しにくい場合は、直接、精神科や心療内科などの
医療機関を受診する方法もあります。疾患の診断がつき、治療や休職などの
対応が必要となる場合は、医療機関を受診したことを上司に伝えて相談
すると良いでしょう。
✔ 職場のメンタルヘルスマネジメント
この章では、会社がメンタルヘルス対策の体制づくりを行うときの基本的な
考え方を説明します。
● 職場のメンタルヘルスマネジメントの必要性
労働安全衛生法は事業者に対し、社員の健康保持のための継続的な措置を
とる努力義務を課しています。つまり「職場のメンタルヘルスマネジメントは
法律が求める取り組みである」という認識が前提となります。
社員がメンタルヘルス不調になると、業務の遂行能力だけでなく集中力や
注意力も低下するため、事故やトラブルにつながることもあります。
また、会社が社員のメンタルヘルス不調に対し適切な対応を怠ったことで
メンタルヘルス不調が悪化した場合、労災の請求や民事訴訟につながる
こともあります。
このような事態を防ぐために、メンタルヘルス不調が疾患に発展する前に
発見して対処することが重要です。
● 職場のメンタルヘルスマネジメントの担当者
職場のメンタルヘルス対策は、管理職である管理監督者や、総務部や
人事部の人事労務担当者の担当となることが多いようです。
毎日職場で社員と顔を合わせる管理監督者が部下の異変にいち早く気づき、
声をかけて相談に乗る必要があります。
このとき管理監督者が適切に対応できるような体制を準備しておくのは、
人事労務担当者の役目です。
● 職場のメンタルヘルスマネジメントの体制づくり
職場のメンタルヘルスマネジメントの体制づくりにあたっては、厚生労働省が
示している原則的な実施方法を参考にすることができます。
カバーすべき分野が多岐にわたるため、産業医や保健師、弁護士や社会
保険労務士などの専門家の意見も取り入れることが望ましいとされています。
基本的な対策は以下となります。
● 相談窓口の設置
社員が業務に関する悩みを相談できる社内窓口を設置します。
常勤の産業医が窓口となることが多いようですが、産業医が非常勤で
ある場合は、人事管理担当者や衛生担当者が窓口となることがあります。
社員がメンタルヘルス不調について産業医に相談できることを知らない
場合も多いため、あわせて周知しておくと良いでしょう。
しかし、社内での相談をためらう社員が多い傾向もあるようです。
このため、精神科クリニックと契約するなどして社外相談窓口も設ける
ことで、社員が会社に知られずに相談できる体制を作る事業者もあります。
また、社員支援プログラム(EAP:Employee Assistant Program)を
提供する機関と契約する方法もあります。EAP機関は契約内容に応じて、
管理監督者や社員へのメンタルヘルス研修や社員からの相談への対応、
メンタルヘルス不調が疑われる社員の医療機関への紹介などを行います。
● 管理監督者に方針を周知する
管理監督者を対象に研修などを行います。会社の方針として社員のメンタル
ヘルスマネジメントを行うことを伝え、部下のメンタルヘルス不調への
対応は管理監督者の業務であることの認識を周知すると同時に、具体的な
対応方法を伝えます。
● 社員のメンタルヘルス不調に気づいた場合の対処法
メンタルヘルス不調が疑われる社員がいる場合は、基本的に以下の手順に
沿って対応します。
1. 管理監督者が本人の話を聞く
メンタルヘルス不調になっている人は冷静な思考や判断ができなくなって
いたり、メンタルヘルス不調になっていることの自覚もないことが多いと
変化を見逃さない環境を作っておくと同時に、信頼関係も構築しておく
必要があります。部下の変化に気づいた場合は、話を聞く機会を作ります。
2. 相談窓口につなぐ
部下と話をした結果、疾患などが疑われる場合は、本人の同意を得て
相談窓口につなげます。デリケートな状況である場合も多いため、適切に
対応するために、管理監督者も必要に応じて産業医や社外の相談機関の
アドバイスを得ると良いでしょう。
公的機関にも、メンタルヘルスについて相談できるところがあります。
精神保健福祉センターや保健所にはメンタルヘルスに関する相談窓口が
設けられていることがあり、産業保健総合支援センター内のメンタルヘルス
対策支援センターは社員だけでなく、会社からの相談も受けつけています。
3. 医療機関を受診してもらう
メンタルヘルス不調になっている社員に早期の受診を促すことは、会社に
求められている安全配慮義務の一環です。部下がメンタルヘルス不調に
なっていると思われる場合は受診を勧め、受診したことを後日確認します。
本人の意向などで受診が難しい場合は、産業医などに相談するといいでしょう。
● 職場のメンタルヘルスマネジメントに役立つ制度
□ ストレスチェック(メンタルヘルスのチェック)制度
2015年、労働安全衛生法に基づきストレスチェック制度が施行されました。
ストレスチェックとは医師や保健師などによる社員の心理的負担の程度を
把握するための検査のことで、社員50名以上の事業所では年1回の実施が
義務、50人未満の事業所では努力義務となっています。
ストレスチェックの結果は本人に通知され、高ストレス状態にあると判断
された場合は、本人の希望に基づき医師による面接指導が行われます。
● メンタルヘルスマネジメント検定
メンタルヘルス不調の予防と活気ある職場づくりに必要な知識と対処方法を
習得するための検定試験です。人事労務管理スタッフや経営幹部を対象と
する内容のI種、管理監督者(管理職)を対象とするII種と、一般社員が
対象のIII種の3種類のコースがあります。
職種に応じて必要な知識を体系的に習得できる内容であるため、社員全員に
合格を義務づけている企業や、受験を推奨している企業もあります。
✔ まとめ
近年、働く人のメンタルヘルスが重要視されています。しかしメンタル
ヘルスは体のように検査数値などで状態を明確に診断することができない
ために把握が難しく、つい見過ごしてしまいがちです。
重要なのは、心の状態の異変に本人や周囲の人が早く気づいて対処する
ことです。メンタルヘルスについて正しい知識を持ち、異変を感じたときは
上司や産業医など、話しやすい人にまず相談してみましょう。
以上となります。
〝ストレス〟を抱え続けると、心身ともに疲弊してしまいます。
現在のコロナ禍で、〝巣ごもり〟状態が続きますと、なかなか発散する
機会が少なくなりがちです。
自分自身で、〝メンタルヘルス〟予防策を進めていただきたいと思います。
2021.8.17
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美