お問い合せ

Coffee Blake-令和3年8月27日(金)「営業知識」②

■ アナログ営業とは

 

アナログ営業とは、デジタルを使わず営業マンが直接お客様のもとに

出向く訪問営業や紹介営業のことを指します。

いわゆる御用聞き的な営業から提案営業(ソリューション営業)まで

スタイルはさまざまですが、基本的にお客様を訪問して会ってコミュニ

ケーションを深めていきます。

 

  ● 自社や商材の紹介のための訪問

  ● 情報提供、課題把握のための訪問

  ● 情報交換のための訪問

     ● 近くまでよったのでご挨拶、担当者変更のご挨拶

 

など、アナログ営業では商談以外でも何かしら理由を見つけてお客様の

ところに通うことがよしとされる傾向があります。

一昔前は「夜討ち朝駆け」と言われるように、なかなか会えないお客様

(中小企業経営者等)に会うために、朝方や夜などお客様が会社に立ち

寄る時間を待ち構えて訪問する営業マンも存在しました。

アナログ営業には紹介営業という手法もよくとられます。

保険、不動産、自動車などの高額な商材はお客様にも「信頼できる人から

買いたい」という心理が働きます。一度営業マンが信頼を得ると連鎖して

紹介がもらえる可能性が高いため、BtoC営業では特に有力な手法です。

有望なネットワークを見つけるために、さまざまなコミュニティに参加し

人脈づくりに励む営業マンもいます。

BtoB営業でもエリア担当の営業マンが地域内でお客様の人脈をつてに

営業したり、社長自ら業界団体、商工会議所などに参加しコミュニティ内

人脈をもとに営業し売上げを上げているケースがあります。

紹介営業を上手に活用できればテレアポ、飛び込みなどの新規開拓手法を

上回る成果を出すことが可能です。

 

■ アナログ営業がなぜ大切か

 

なぜ、アナログ営業は古いと言われながらもいまだに行われているので

しょうか?

もちろん慣習もありますが、実はアナログ営業はムダが多そうであり

ながら、メリットもあるからです。

 

■ アナログ営業のメリット

 

ここではアナログ営業の強みを紹介します。

 

・対面でのコミュニケーションの強さ

 

営業マンも、ショッピングの際に店に入って販売員と目が合って会話を

交わすとつい断りにくくなったり、買ってあげたい気持ちになることが

あると思います。人間は対面した相手に心を開く傾向があるそうです。

 

何かを依頼したときの効果はメールより対面が34倍


ザイオンス効果(人は接する回数が増えるほど相手に好印象を持つ)

 

売る側のノウハウを知っている営業マンすら相手のニコニコした誠意ある

対応につい応えたくなるので、相対した時のいわゆる「返報性の法則」は

かなり強力なのです。

 

・お客様にとっても安心感がある

 

お客様側にも「営業マンと会う」メリットはあります。

高額な商材を買うときや、長期の取引を始める際には、商品だけでなく

企業の社風、コンプライアンスの意識、フォロー体制などをチェック

しないとBtoCなら不安ですし、BtoBなら上司から「担当者のチェックが

甘い」と言われかねません。

仕事のこだわり加減(満足度のレベル)、スピード感などは会社ごとに

意外に違います。営業マンに訪問してもらうと、Webに書かれている

表面的な情報だけではわからない自社との相性などを、営業マンという

人間を通して判断することができるのです。

2019年にHubSpot Japan株式会社が行った「日本の営業に関する意識・

実態調査」では、営業担当者の訪問を希望するお客様は全体の70.6%にも

上ります。

理由の一位は「誠意」を感じるというものです。

合理性、効率性という観点だけでアナログ営業を否定するのは早計かも

しれません。

 

・リアルタイムでお客様のニーズに対応することができる

 

例えば、朝のニュースで「外資A社が日本に進出」「〇〇業界の再編が

あった」という情報を見たときに、アナログ営業マンなら速攻でアプロ

ーチすることが可能です。エリア担当の営業マンなら、新オープンの店舗を

見つけたらすぐ飛び込み営業したり、工事段階からアプローチすることも

あるでしょう。既存のお客様に対する営業であっても、まめに訪問する

営業マンは、お客様から見れば何かあったらすぐ相談したり、頼んだり

できる存在です。アナログ営業にはリアルタイムでお客様のご要望に対応

することができる強みがあります。

 

・ITが苦手な決裁権者(キーマン)へのアプローチに有効

 

企業経営者や部長クラスなど大きな予算の決裁権を持っている方は、

大企業だと50~60代です。中小企業の社長だと70代の場合もあります。

中高年層はITについて詳しくない場合も多いので、アナログ営業は少なく

とも向こう数年は有効だと言えます。昭和の「24時間戦えますか?」と

いう価値観で生きてきた経営者や中高年層の中には、多少積極的なアナ

ログ営業をする営業マンを「骨がある」と評価する方もいます。

 

■ アナログ営業のデメリット

 

とはいえ、アナログ営業のデメリットもあります。 

 

・非効率、ムダな努力、労力が多い

 

まず、アナログ営業での新規開拓には、かなりの時間とコストが掛かります。

業界にもよりますが、テレアポなら1日100件かけてアポが2~3件、飛び

込み営業だと名刺や見込み客になりそうな件数が1~数件程度。

双方とも0件の日もあるでしょう。

そこから受注に至ってさらに大口の売上げになる企業となると、1件の

成功の背後には何千件もの行動があることになり、まるで「クジ」にでも

あたるような確率です。

既存顧客向けの営業でも、アナログ営業は非効率な動きになりがちです。

移動時間が発生するため、なかなか1日の商談を増やすことができません

商談件数と売上げ件数が比例することを考えれば、アナログ営業の非効率さは

大きな課題です。

前述のHubSpot Japan社の調査でも、営業マンは会議時間や担当と会え

ないための再訪問や移動時間をムダに感じている結果が出ています。

 

・営業マンの数に比例した売上げしか期待できない

 

アナログ営業では、売上げ金額は営業マンの数に依存すると言えるでしょう。

営業マンが20人の企業と200人の企業なら営業力で負けてしまうことが

多くなります。

ランチェスター戦略の「武器の性能が同じなら、兵力数の多い方が勝つ」

いう考え方のとおり、中小企業が大きな競合他社に勝って成長していく

ためには、違う営業スタイルをとらなければ難しいと言えます。

 

・嫌がられる、迷惑がられる

 

アポなし飛び込み訪問は、昔から訪問される側にとっては仕事が中断される

ため迷惑に感じることも多い手法です。そのうえ営業マンが礼儀正しく

ない態度をとることも多く、怒りを買うのもいたしかたない面があります。

信頼関係ができているお客様へのアポなし訪問も、昔なら「せっかくだから

情報交換でも」という流れになりましたが、今はどの企業でも働き方改革が

進んでおり「業務の効率化」「生産性」を問われています。

資料、情報はビジネスチャットやメールで送ったほうが担当者に喜ばれる

可能性が高いと言えるでしょう。

コミュニティ内の人脈を使った営業も、顰蹙を買うことは少なくありません。

同窓会や勉強会、セミナーなどでフレンドリーに挨拶してきた人とその場で

いろいろ楽しく話すことができたと思ったら、後日いきなり営業の電話が

かかってきて「なんだ〇〇を売りたかったんだ…」とがっかりした経験が

ある方もいると思います。相手への配慮なしで行われるアナログ営業は、

あちらこちらで迷惑がられます。

もちろん、商材によっては今後もアナログ営業中心で問題ありませんが、

お客様から受け入れられていないと感じることが多いのなら、お客様視点で

アプローチできるデジタル営業を取り入れることを検討してもよいかも

しれません。

 

● ソリューション営業

 

ソリューション営業とはお客様との対話を通して、お客様が抱えている

問題やニーズをつかみ取り、その問題の解決策(solution)を提供する

営業スタイルです。

あくまでお客様が決断するまでのプロセスは、お客様自身が納得を積み

重ねながら進んでいきます。

 

● BtoC営業

 

BtoC」は、Business to Consumerの省略であり、企業が消費者に対して

直接取引をすることです。

例えば、家電メーカーやアパレル、デパートなど、一般消費者に向けて

モノを売る企業が「BtoC」です。

 

● BtoB営業

 

BtoB営業とは、対象顧客を法人相手として、法人対法人取引のための

営業です。対してBtoC営業は、対象顧客を個人相手とした、法人対個人

取引のための営業のことを指します。 

B2BやB2Cとも表現されますが、toを英語の2にかけた語呂合わせで、

同じ意味です。

 

● 返報性の法則

 

人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないと

いう感情を抱くが、こうした心理をいう。

これは、高額商品を売ることを諦めて低額商品に切り替えるという相手の

譲歩に対して、こちらも譲歩しなければという心理が働く、返報性の原理に

よる。

 

● ザイオンス効果

 

ザイオンス効果とは、繰り返し接すると印象や好感度が高まり関心の

度合いが高まるという効果です。

”ザイアンス効果”や、”単純接触効果”とも知られています。

ポーランド出身の心理学者、ロバート・ザイオンス氏の論文によって

発表された効果であり彼の名前から「ザイオンス効果」と呼ばれて

います。

近所のコンビニエンスストアの店員さんになんとなく親しみを覚えて

しまう経験はありませんか?

これは、人間が同じ人やモノに接する回数が増えるほど好印象を持つから

なのです。

 

 

この続きは、次回に。

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