Coffee Blake-令和3年9月29日(水)「働き方innovation」
日経新聞-2021年(令和3年)9月20日の「働き方innovation 働きがいは
何ですか②」をご紹介致します。
「社内起業」についてですが、興味のある方、社内で新規事業立ち上げ等を
担当されている方にとっては、大変、参考になると思います。
2021.9.29
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美
働き方innovation
働きがいは何ですか②
「自分ごと」を革新に力に
パナソニック、独立も支援
会社の後押しを受け、新事業の立ち上げを目指すイントレプレナー(社内
起業家)が増えている。パナソニックの社内コンペは、勝ち抜けば社長
として独立もできる。
責任は重いが、果実も大きい。
「自分ごと」と仕事を促えれば、やりがいも高まる。
安住の仕事を失うリスクはあるが、その熱意を企業はイノベーションに
生かす。
(中略)
・社員の自主性を育むことが大企業を打破し、イノベーションにつながる。
・日本で起業が少ない理由のひとつが、終身雇用など雇用制度だ。
定年まで安定しているため、退職して起業する意識が芽生えにくい。
・日本の時間当たり労働生産性は70年から、主要先進7カ国で最下位が
続く。大きな理由が、仕事に主体的に取り組む意識の欠如だ。
起業コンペは時間と労力がかかるが、自らの裁量の範囲が広がる。
リスクと背中合わせの働きがいは、仕事への向き合い方を変え、停滞
した企業風土を打ち破るきっかけにもなる。
『社内起業のメリット・デメリット』
● メリット
・新しいヒット商品・イノベーションを生み出せる
・社員のオーナーシップを高められる
・アプローチを変えるなど、現在の仕事にも良い効果が見込める
● デメリット
・社員の流出が増える可能性がある。
・企業から出資を受けるため自由な経営が難しい。
働き方innovation データを読む
社会的な評価低く
国際的に見て日本の起業マインドは高くない。
グローバル・アントレプレナーシップ・モニターの調査では2020年、
3年以内に新しいビジネスを計画する成人の比率は日本が7.8%だった。
19年の7.3%からは増えたが、韓国の34.3%、米国の18.6%、ドイツの
12.7%などと比べ大きく見劣りする。
起業意欲、日本見劣り
理由のひとつが、起業家に対する社会的な評価の低さ。
調査によると、起業という職業選択に対する評価で、日本は調査対象の
36カ国中最も低かった。
個人投資家の活動など、環境面でも平均を大きく下回った。
社会的に起業を後押しする仕組みがない以上、社内起業の役割は大きい。
新しいヒット商品・サービスの開発は企業の実利にもなる。
新陳代謝の中でこそイノベーションは生まれる。21年度の中小企業白書に
よると、日本の開業率は4.2%。英国(13.5%)や米国(9.1%)と差がある。
一方、廃業率でも英国(11.3%)、米国(8.5%)よりも日本(3.4%)は低く、
新陳代謝があまり起きていない。
重要なのが、社員に社内コンペのような実践の場を与えることだ。
起業するための知識・能力・経験を持っているかという問いでも、日本は
15.2%で、米国(64%)と大きな開きがある。リスキングなど社員教育に
力を入れる企業が増えているが、実際のビジネスに即して得られる学びの
効果は大きい。
着想や企画立案、事業計画の作成まで自ら考え、主体的に動く社内コンペは
イノベーションの源泉になるだけでなく、社員が仕事の価値を再認識し、
働きがいを感じられる貴重な場でもある。コンペで勝ち残らなくても
参加や能力以上のものを手に入れることができる。
● 日本人の起業マインドは高くない
3年以内に新しいビジネスの開始を見込む人の割合
エジプト 56%
ブラジル 50%
韓国 34%
インドネシア 28%
インド 23%
米国 18%
台湾 17%
ドイツ 13%
スウエーデン 11%
英国 10%
日本 8%
イタリア 5%
COMEMOの論点 過剰な介入は創造性阻む
投稿プラットフォーム「COMEMO」では、社内起業制度をどう
生かしたらよいか意見募集した。
・河原あずささんは13年、新規事業創出のミッションを背負って米国に
赴任した経験を持つ。「社内起業家は資質やマインドセットが求めら
れる」という。
例えば「なぜあなたがやるのか」という問いに的確に答えられる説明力。
河原さんが尊敬する社内起業家は「なぜ自分がこの事業をやっている
のか」をいつも的確な言葉で表現し、周りを上手く巻き込んでいると
指摘する。
・河原さんは「社内起業家が描き出すのは未来の会社のあるべき姿で、
会社の未来を映す鏡のような存在」という。その姿が軽薄だと、その
会社の姿が軽薄に映ることになると警鐘を鳴らしていた。
・堀田陽平さんは、「社内起業制度は従業員の自律的なキャリア形成に
資する制度」だと評価する。一方で、「社内」であるがゆえに会社が
介入し、創造性で迅速な事業活動が阻害される危険性を指摘する。
解決策として、会社本体から独立して離れた「出島」形式の異質な組織を
立ち上げることや、企業内の人材が会社を辞めずに他社に出向する形で
イノベーションを起こす「出向起業」といった方法を提案する。
こうした制度はミレニアム世代の人材獲得にプラスだと指摘する。
● 社内起業制度どう生かす
河原あずささん(potage代表取締役)
自分が会社とともに描くビジョンを実現するために、会社の持つヒト、
モノ・カネのリソースを利用して、まだ見ぬ新しい価値を創出する、と
いう意識をピュアに持ち続けることが大事だ。
「なぜ自分がやるのか」を自分の言葉で答えられるようにしたい。
堀田陽平さん(弁護士)
大きく硬直化した組織では「社内」企業であるために、会社が過度に介入
してイノベーションが潰されるリスクもある。社内起業とは別に、社内から
少し距離を取る「出島戦略」や「出向起業」といった方法も考えられる。
● イントレプレナー
イントレプレナー(Intorepreneur)とは直訳すると「社内起業家」と
いう意味です。企業内で新しいビジネスを立ち上げる際に、そのリーダーと
なる人材を一般の起業家を意味するアントレプレナー(entrepreneur)と
区別してイントレプレナーと呼びます。2021/04/02
● 果実
1. 精神的・肉体的な働きの成果。みのり。
2. 法律用語。ある物(元物 (げんぶつ) )から産出される収益物。
穀物・羊毛・牛乳などの天然果実と、利息・地代・家賃などの
法定果実とがある。
● 安住
1. 何の心配もなく落ち着いて住むこと。
「安住の地」「郷里に安住する」
2. それ以上を望まず、現にある境遇に満足していること。
「現在の地位に安住する」
● 裁量
その人の考えによって判断し、処理すること。
「君の裁量に任せる」「店の経営を一人で裁量する」
● リスキング
社内に「いまある」部署の「いまある」仕事をしてもらいながら、
やり方を覚え、スキルを獲得してもらうもの。2021/02/26
● マインドセット
「マインドセット」とは、固定された考え方や物事の見方を指す言葉だ。
マインドセットは先天的な性質や経験、教育、育った時代背景によって
形成されるもので、個人の信念や価値観も含まれる。2021/06/30
● 警鐘(けいしょう)
危険を予告し、警戒を促すもの。警告。「現代社会への警鐘」
● キャリア形成
そもそも「キャリア」とは、職業人生を通して経歴や能力を積み重ねて
いく過程のことです。「こうなりたい」「こんな技術を身につけたい」と
いう目標や動機に基づき、キャリアは形成されます。
つまりキャリア形成とは、将来なりたい姿を見据えながら、能力・職歴・
資格を蓄積し、自己実現を図るプロセスのことだと言えるでしょう。
2021/06/24
● 阻害
さまたげること。じゃますること。「生育を―する」
● ピュア(pure)
[形動]まじりけのないさま。純粋。また、けがれがないさま。
純潔。「ピュアな白」「ピュアな心」
● 硬直化
ゆとりがなく、変化に柔軟な対応のできない状態であること。
「財政の硬直化」「組織の硬直化を招く」
「権威化し、硬直化した高等教育」
● 出島戦略
出島戦略とは、成熟した企業内にビジネストランスフォーメーションを
起こすために、小さな組織を出島的に用意し、既存事業のアセットを活用
しながら新しい事業を探索し、そこで得た知見を既存の組織・既存の事業に
還元し改革を促す戦略です。2021/07/28
● 出向起業
経済産業省は、令和3年度予算「大企業人材等新規事業創造支援事業費
補助金(中小企業新事業創出促進対策事業)」により、大企業等の人材が、
所属企業を辞職せずに、自ら外部資金調達や個人資産の投下等により起業
して行う新規事業「出向起業」を支援しています。2021/07/09
いかがでしたか。
やはり、「起業・創業」するには、度胸と言いますか、覚悟が必要と
なります。
日本が海外と比較して、起業意欲が見劣りするという結果は、度胸と言い
ますか、覚悟が足りないのでしょうか。しかし、これから先-将来〝起業
意欲が見劣り〟する状態が続いた場合の、〝弊害〟も考えておく必要が
あります。
① 起業家に対する社会的な評価を高める。
② 社会的に起業を後押しする仕組みを作る。
以上から、「生き甲斐」「働きがい」「やり甲斐」が生み出せれば、
起業家を目指す方々も増加すると思います。
最後に、「起業のメリット・デメリット」をインターネットで検索致し
ました。
● 起業のメリット
1. 自分のやりたいことが自由にできる
起業すれば誰にも束縛されず、自分の考えや判断で自由に事業に取組む
ことができます。上司の命令を受けず、意思決定できることは、会社
勤めと起業の大きな違いといえるでしょう。事業の取組みに対する
自由度が増せば、これまで会社の一社員として考えていた自己実現に
対するイメージや意欲も、自ずと広がってきます。
さらに、事業が成功すれば、すべて自分自身に反映されますので、
大きなやりがいと感動を得られることも魅力です。
2. 高い収入が得られる可能性がある
会社勤めでは、自分が関わった事業がうまくいけば、給料のアップは
期待できますが、上限は想定できます。起業した場合は、事業が軌道に
乗って、市場からの支持を得ることができれば、高い役員報酬やストック
オプションを活用して、収入は青天井で上がり続ける可能性もあります。
起業前から皮算用は禁物ですが、高い収入を目指して目標を高く持つ
こともモチベーションアップに繋がります。
3. 定年がなく、働き続けることができる
自分の会社であれば、自らが望めば、いつまでも働き続けることが
できます。「人生100年時代」を見据えた社会を考えれば、働く環境が
担保されることは、ある意味、メリットといえるでしょう。
一方、事業にもライフサイクルがあり、同じやり方で永遠に継続する
ことは難しいと考えられます。その時々の市場ニーズに合わせた商品
・サービスを提供するなど新しい取組みが必要です。
● 起業のデメリット
1. 失敗もすべて自己責任
起業での成功が自分の力ならば、失敗もすべて自己責任です。
失敗したら次の機会を期待してくれる協力者もいますが、距離を置い
たり、火の粉がかからないように関係を解消しようとすることも考え
られます。仮に事業に失敗して多くの借金を残したまま、亡くなって
しまったら、家族にその借金が残るといった自己責任では収まらない
ケースも考えられます。
2. 収入の保証がない
会社勤めの場合、毎月の給料が決まっていて、急に減少したり、ゼロに
なったりする心配はあまり考えられません。起業して事業を始めたら、
当然のことながら収入の保証は誰もしてくれません。
収入ゼロの状態だけでなく、マイナスになることも考えられます。
その意味でも、起業時のリスク回避として、最低限、自身や家族が
生活できる費用を予め確保しておく必要があります。
3. 会社の信用は一から築くことになる
会社勤めの時は、取引先との商談をうまくまとめることができるのも、
何かのトラブルを円満に解決に導くことができるのも、自分の実力以外に
「会社の看板=信用」があるからということは言うまでもありません。
起業間もない時期は、その看板はありませんから一から信頼を築き
あげ、社会からしっかり信用されることが大切です。
私は、〝起業のデメリット〟を〝起業のメリット〟に少しでも、変えら
れるように努力して欲しいと思います。
大変、難しいことかも知れませんが、〝起業家として成功〟はゼロでは
ありません。
すべての方に〝チャンス〟は、あります。
2021.9.28
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美