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実践するドラッカー[思考編] ㉝

A lesson from P.F.Drucker

 

∵ 卓越性を得る

 

 

人の卓越性は、一つの分野、あるいはわずかな分野において実現されるのみで

ある。

『経営者の条件』—-p.105


 

ドラッカー教授は、強みの上に強みを築けといいます。

卓越性は、その先にあります。強みが自己認識から始まるの対し、卓越性は、

他人が決めるものです。周囲に評価されなければ、いくらこの分野が自分では

卓越していると思っても意味がありません。

その意味で、「何によって憶えられたいか」というドラッカー教授の有名な問いに

通じるものがあります。

卓越性は、自らの知識や強み、ワークスタイルを生かして誰の目にも明らかな

成果をあげ続けたとき、つまり成果が大きな蓄積となったときに生まれます。

卓越性という質には、量を積み重ねる必要があるのです。

例えば、高い英語力とアメリカの法律や商慣習の知識をもった人が、戦略性や

予見性、慎重差などの強みを生かしてアメリカ企業との交渉を契約書にまとめる

仕事をしていたとします。

経験を積んでいくうちに、重要事項の漏れがなく、しかも将来のさまざまな状況を

想定し、あらゆるリスクを回避する条項を盛り込んだ契約書を作成できるように

なり、誰からも「契約書はあの人に頼め」といわれるレベルになれば、それは

卓越性を得たということができます。

私たちは、同時にいくつもの卓越性を得ることはできません。

思う存分強みを生かして、一つの分野で光を放つ卓越性を得たいものです。

 

● 卓越性

 

広辞苑によると、「”卓越“とは、他にぬきんでてすぐれていること。

ひいでること」とある。 つまり、”卓越性“とは、抜きんでた実力のことである。2013/11/05

 

 

A lesson from P.F.Drucker

 

∵ 価値観を問う

 

自らをマネジメントするためには、自らにとって価値あるものは何かを考えて

おかなければならない。

『明日を支配するもの』—-p.207


 

価値観は、非常に幅広い概念です。個人の価値観の中でも、仕事をするうえで

ほとんど関係ないものもありますし、逆に、大いに関係するものもあります。

例えば、倫理観は基本的な価値観ですが、仕事と深く関係しています。

倫理観の高い人が、遵法意識の低い組織にいることは、苦痛以外の何者でもあり

ません。

近年、偽装問題がメディアで盛んに取り上げられていますが、その多くは内部

告発によって明るみに出るといいます。組織の価値観と個人の価値観に大きな

ズレが見られる端的な例です。

そのほかにも個人の価値観にはいろいろあり、仕事観、歴史観、世界観など○○観と

付くもの、○○心、○○感覚、○○意識などで表現されるものも、その一種です。

次のページの「価値観チェックシート」を参考に、自分の価値観を一度整理して

みてください。

価値観は多様であるからこそ、まず一人ひとりが、「価値観とは何か」を理解

することが重要です。そして、自らの価値観を自分なりに問い、考え、徐々に

形づくっていく。そのようなプロセスを繰り返していくうちに、自らにふさわしい

仕事の場に出会うのです。

 

シート 価値観チェックシート

 

価値観は多様で、数限りなくあります。以下はほんの一例ですが、自分の嗜好や

癖と照らし合わせて整理してみてください。

あなたにとって大切に思えるものとそうでないものが混在しているでしょうが、

価値観は人それぞれに異なります。価値観を知ることは、自分自身の理解は

もちろん、他社への理解を深めることにも役立ちます。

 

記入例

 

□ 倫理観

 

誰も見ていなくても信号を守る

人が見ていなければ信号を無視する

 

□ リスク感覚

 

ハイリスク/ハイリターンを選択する

ローリスク/ローリターンを選択する

 

□ 使命感

 

組織の目的や社会貢献に動機づけられる

自分の目標に動機づけられる

 

□ 安定志向

 

安定した職場を望む

成長や変化に富んだ職場を望む

 

□ 忠誠心

 

組織への愛着が深い

個の独立心が強い

 

□ 価値観チェックシート

 

実際に書いてみましょう

 

□ 美 □ 職業 □ 教育 □ 健康 □ 信念 □ 公平

□ 誠実 □ ユーモア □ 自立 □ 忍耐 □ 誇り

□ 責任感 □ 冒険心 □ 勇気 □ バランス □ 思いやり

□ 協力 □ チームワーク □ 寛容 □ 尊敬 □ 感謝 □ 愛

 

他にも気づいたものがあれば、随時追加していきましょう。

 

 

● 価値観

 

物事を評価する際に基準とする、何にどういう価値を認めるかという判断。

「価値観の相違」

 

● 倫理観

 

倫理観(りんりかん)とは、倫理(人として守るべき善悪や是非の判断や判断

基準)についての捉え方・考え方、を意味する語。 倫理に関するものの見方。

万人が同意する普遍的な善悪・正邪よりも、むしろ立場によって意見の別れる

(対立が生じる)ような話題を扱う文脈で用いられることが多い。

たとえば尊厳死の問題など。

 

● 遵法意識

 

法に則り、法を侵すことをしない、という心構え。 遵法を尊ぶ精神のあり方。

 

 

この続きは、次回に。

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