お問い合せ

「人を動かす人」になれ! ⑮

18.「権限委譲」と「責任委譲」を勘違いするな

 

「権限委譲」という言葉がある。

「この仕事は君に権限委譲する」とか「ある会社は権限委譲が進んで

いなくて、部下に仕事を任せない」といった使われ方をする。

この言葉は、よく「責任委譲」と混同して使われる。だが、「権限委譲」

と「責任委譲」とはまったく別のものである。また、「任せる」という

ことを「放置する」、「任せられる」を「自分の好き勝手にやる」と解釈

している人も多いが、これも明らかに誤りである。

部下に目標を示して指示を出し、最後に「よし、この件は君に任せた」と

上司が宣言したとする。この場合、上司は部下に権限を委譲しただけで

あって、責任まで委譲したわけではない。当然、直接仕事を進めていく

のはその部下だが、結果に対する責任はあくまで上司の側にある。

つまり、権限を委譲したといっても、上司は常に進捗状況の報告を受け、

その内容をチェックする必要がある。

内容に問題がなければ口をはさむことはないが、部下が困っていたり、

多少なりとも不安があるようであれば、目標をスムーズに達成できるように、

適切なアドバイスを与える。また、軌道修正を要するようなケースであれば、

それをはっきりと伝える。上司は「任せた」と宣言しても、少なくとも

これだけはやらなければならない。これをやらずに「放置」しておいて、

後になって「部下を信頼して任せたのに裏切られた」などというのは、

責任回避以外の何ものでもない。

指示を与えたなら必ず部下に報告を義務づけることは、仕事に取り組んで

いくうえでの大原則である。わたし自身、部下からの報告内容を入念に

チェックすることによって、重大な問題の発生が未然に防げたという経験を

何度もしてきている。

一方、任せられた部下の側にも注意しなければならないポイントがいく

つかある。仕事の状況は自ら進んで上司に報告し、任せてくれた上司の

信頼に応えねばならない。

信頼に応える報告とは、よいことばかりを選んで知らせることではない。

イヤなこと、都合の悪いことほど、早く正確に伝えるということである。

火事でもボヤのうちに消化器を持って駆けつければ、被害を最小限度に

食い止めることができるが、火が回りはじめてしまっては、打つ手もかぎ

られてしまう。

「権限委譲」には、上司にとって部下を動かす、部下にとっては上司を

動かしていくための数多くの教訓が含まれている。

 

● 権限委譲

 

権限委譲とは、与えられた(業務)目標を達成するために、組織の構成員に

自律的に行動する力を与えること。

権限委譲(エンパワーメント)の特徴は、①自立性を促し ②支援する

ことにある。

①については、業務の遂行にあたり経営者やマネジャーが業務目標を

明確に示す一方、その遂行方法は従業員の自主的な判断に任せること

である。

②については、具体的な指示や解決策を従業員に与えるのではなく、

従業員自身が問題点を発見し、不足する能力を開発できるよう環境を

整えるといった形をとる。

昨今では、組織構成員の自律的な行動の重要性が高まっている。

これまでにも「好きなようにやってみろ」と部下に任せ、自律的な行動を

促すことができる上司は数多く存在した。しかし、そうした上司の取り

組みは個人的な行動パターンとして捉えられ、経営の技術として意識的に

習得するものという認識はなかった。

今後は、経営者やマネジャーはリーダーシップを発揮するために必要な

技術として、権限委譲を習得する必要がある。なお、かつて権限委譲は

delegation、つまり意思決定権や責任を単に委譲することを指していたが、

昨今のempowermentには、自立を促しそれを支援するといった意味合いが

含まれている。

 

● 報・連・相

 

報告・連絡・相談の頭文字をとったビジネス用語です。

30年以上前に誕生した言葉で、多くの企業で報連相を心掛けた行動を

とるように、教育しています。

部署内の業務をスムーズにしたり、問題解決までのスピードを早めたり

する目的があります。社内の業務をスピーディーに回し、業務改善など

を図っていきます。

 

● delegation

 

代表任命、代表派遣、代表団、委任

 

● empowerment

 

1. 権限を持たせること、権限付与、権限委譲

2. 自信を与えること、力を付けてやること

 

 

 

この続きは、次回に。

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