お問い合せ

「人を動かす人」になれ! ⑯

第2章 指示の出し方—何をどう話すか

 

19.人望を得るために絶対必要な五つの条件

 

経営者の立場から見て、うまく部下を動かし、なおかつ組織としての

機能をフルに発揮させている幹部社員には、いくつか共通項がある。

 

その第一のポイントが、ギブアップをしないこと。

一度やると決めたことは、どんなことがあっても最後までやり抜く。

こうした姿勢を貫く上司であれば、部下は否が応でもついて行かねば

ならなくなる。反対に、最初からやる気がなかったり、決めたはずの

方針が理由もなくコロコロと代わる。

あるいは、威勢がいいのは最初だけで、結局は行動が伴わずに途中で

投げ出してしまう。こんなことが一度でもあれば、部下は安心して上司

についていけないと感じ、一定の距離をおくようになる。

 

二番目のポイントは、陰で人の悪口、特に部下の悪口はいわない、いわ

せないということが大切だ。

本人のいないところで上司が先頭に立って部下の悪口をいい出すなどは

もっての他のことである。職場で仲間の悪口をいう者がいたなら、「二度と

そんなことは口にするな」とその場で厳重に注意することが必要だ。

なぜなら、本人がいないところで仲間の悪口をいっているような職場では、

チームワーク、連携プレーがうまく図っていけるはずがないからである。

 

三番目はごまかさないということ。

あえて説明する必要はないと思うが、人を動かすベースになるのは信頼

である。自分の立場を守ために、部下をごまかしたり、トップに虚偽の

報告をする。見ていないようでも部下はこうした行為をよく観察している

ものである。

 

四番目は正論、すなわち理詰めで部下を追い込んでいかないこと。

もちろん、正論を述べたり、理詰めで話し合うことが必要な場合もある。

しかし、部下がミスや失敗をしたようなケースで、部下もそのことに

気づき、反省しているなら、さらに追い打ちをかけるようにグジグジと

正論を並べ立て、精神的に追い込んではならない。

むしろ、「君ともあろう人間が、こんな失敗をするようでは思いやられ

る」と理屈抜きでガツンと雷を落とし、これで終わらせる方が、部下も

上司も好感を持つ。

 

最後は休まないということ。

わが社の例でいえば、創業から参加してくれた一人は風邪で四○度近い

熱があろうが、前夜の午前三時、四時まで残業しようが、必ず定刻まで

に出勤する。以前車の事故で足を骨折したときも松葉杖をついて会社に

出てきた。こんなときには会社で居眠りをしていることもあるが、どんな

ことがあっても休まないという信頼が、わたしを含めた多くの社員、

そして取引先の人たちからの人望の高さにもつながっている。

 

 

この続きは、次回に。

トップへ戻る