「人を動かす人」になれ! ⑲
22.いろんな年齢層の社員と話せ
いろんな本を読むと、人の話を聞くときは「メモをとれ」と書いてある。
これは、ビジネスマンの心得としては大切なことで、否定するつもりは
ない。しかし、わたしが講師役となって階層別、職場別に実施している
わが社の研修会では「メモをとらなくていい」といっている。
なぜなら、研修会といってもわたしは社員に詰め込み教育をする気持ちは
さらさらないからだ。社員を集めて話をするときと同じように、テーマを
一つかせいぜい二つに絞り込む。
一つか二つならメモをとらなくても覚えられる。わたしは、こうした研修の
成果はそれで充分だと考えている。
他社の研修のやり方を尋ねてみると、一回にあれもこれもと多彩なプロ
グラムが組まれていて、わたしは「ずいぶん欲張りなんだなぁ」という
印象を受ける。それはさておき、一回に一つのテーマに絞るのは、中身の
濃いものにしたいためである。しかも、やったことは確実に身につけて
ほしいとも考えている。だから、難しいことはいわないし、表現も極めて
ストレートだ。そしていろんな事例を交えて話を進めていく。
その数は二○〜三○になる。では、どうやって事例を見つけてくるのかと
いうと、身の周りで起こっているすべてがヒントだ。
毎朝読む新聞、テレビのドラマ、雑誌、社内で起こった事件、人から聞い
た話などが格好の材料となる。要するに、世の中にあるものは好き嫌いで
判断せずに、あらゆるものを一度は受け入れてみることが大事なのである。
ちなみにわたしは、ありとあらゆるものに目を通す。
週刊誌であれば、男性向け女性向けを問わずピンからキリまで、メジャー
なものはもちろん、実話何とかといったものまで読んでみる。
さらに漫画や芸能週刊誌なども、目の前にあれば必ず開いてみる。
音楽でもジャンルを問わずに聴くし、カラオケに行って知らない歌を耳に
すると、「あれは誰が歌っていてタイトルは何だ」と誰彼なしにうるさく
尋ねる。
これぐらい貪欲になれば、事例なんていくらでも見つけられるし、いろんな
年齢層の社員とも目線が合わせられる。
人を動かす秘訣というのは、案外こんなところに潜んでいるのだと思う。
この続きは、次回に。