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Next Stage 令和4年1月6日「社会保障」

読売新聞 2021年(令和3年)12月19日「あすへの考」に〝社会保障

「2022年危機」迫る〟のタイトルで記事が掲載されておりました。

 

新年を迎えたばかりですが、大変、参考になる内容ですので、

ご紹介させていただきます。

 

2022.1.6

株式会社シニアイノベーション

代表取締役 齊藤 弘美


読売新聞

 

「あすへの考」

            編集委員 石崎 浩

 

社会保障「2022年危機」迫る

 

社会保障制度の「2022年危機」が、いよいよ目前に迫ってきた。

戦後のベビーブームで生まれた「団塊の世代」が、来年から75歳を迎え

始める。これに伴い、医療や介護の現場を担う職員の人手不足が深刻に

なるとともに、費用も急増することにより、制度の持続可能性が大きく

揺らぎかねないからだ。

この危機を乗り切るためには、どんな改革が求められるのか。

 

人口構成 タワー型

 

団塊世代は1947〜49年の3年間で約800万人が誕生した。

1年当たりの出生数は約270万人で、現在の3倍以上だった。

高度経済成長期に就職し、豊かな日本を築くことに貢献した。

現在は70歳代前半で、2022〜24年に順次、75歳になる。

このため、75歳以上の人口は、今後3年間、毎年約4%ずつ増え、「高齢者の

高齢化」が急速に進む見通しだ。

団塊世代が誕生したばかりの1950年、人口ピラミッドは安定した三角形

だった。

2022年には、団塊世代と、50歳前後の団塊ジュニア世代のところが大きく

張り出した、不安定なタワー型に変わる。

「75歳」が注目されるのは、人間の身体状態がその頃から大きく変わり

やすいからだ。健康上の問題で日常生活を制限されない「健康寿命」は、

平均で男性72.14歳、女性74.79歳。つまり75歳前後から医療や介護の

必要性が高まる。

社会保障に関して、まず心配なのは、医療や介護を担う人材が一段と

足りなくなることだ。

「団塊世代が全て75歳以上になる25年度までに、介護職員を32万人増やす

必要がある。

厚生労働省は7月、こんな推計を公表した。

介護の現場で働く人は、仕事がきつい割に賃金が低く、担い手不足が深刻だ。

既に現場では、ホームヘルパーの訪問回数が減らされたり、特別養護老人

ホームが職員不足で閉鎖に追い込まれたりする事態が生じている。

このままだと都市部を中心に「介護難民」が急増しかねない。

しかも、25年には高齢者の5人に1人が認知症になると予測されている。

家族の負担が重くなり、現在でも約10万人とされる介護離職がさらに

増える懸念がある。医療では、看護師不足が著しい。厚労省の推計に

よると、25年には大都市部を中心に、看護師などの需給ギャップが6万

〜27万人に上るという。

新型コロナウイルスの感染拡大で露呈した医療機関での不足に加え、今後は

自宅で暮らす高齢者を支援する訪問看護ステーションなどの需要も増大

する。

 

「団塊」75歳に 介護難民急増も

 

健保組合の解散懸念

 

費用の急増も懸念される。

0〜64歳の人が1年間に使う医療費は平均約19万円だが、65〜74歳は約57万円、

75歳以上は約93万円にはね上がる。医療、介護、年金などの社会保障給付費は、

25年度には約140兆円と、10年間で約2割も増える見通しだ。

高齢者医療のために、現役世代の負担は増え続けている。

国民の4人に1人にあたる約3000万人が加入する各企業の健康保険組合は、

既に保険料収入の4割以上を高齢者医療に拠出する。

平均保険料率は9.2%(従業員と会社がおよそ半分ずつ負担)と、10年前から

約1.5ポイントも上がった。

全国組織の健康保険組合連合会は、「22年危機で財政悪化が急速に進む。

ここ数年で平均保険料率が10%を超え、解散する組合が続出しかねない」

と頭を抱える。

25年を過ぎると高齢者の増加は緩やかになり、今度は現役世代の減少が

加速する。40年には1人の高齢者を20〜64歳の1.4人で支える状態となり、

約3人で支えていた今世紀初頭の「騎馬戦型」から「肩車型」への変化が

進む。

40年度の社会保障給付費は、今の約1.5倍の約190兆円と推計される。

さらに重くなる負担に、現役世代は耐えられるのか。

 

費用増 支え手増やす改革重要

 

「痛み」向き合う必要

 

政府も2022年危機の到来に警戒感を強めている。

「看護、介護などの現場で働く方々の収入の引き上げは、最優先の課題だ」。

岸田首相は11月9日、「全世代型社会保障構築会議」の初会合で、人手不足

への対応を急ぐ考えを示した。政府は11月19日に決定した経済対策に、

来年2月から介護職員は3%程度、新型コロナウイルスは対応する看護師は

1%程度、収入を増額することを盛り込んだ。ただ、これは補正予算に

よる一時的措置にすぎない。

持続的に賃金を増やすには、診療報酬や介護報酬の加算など制度上の

対応が必要になる。現役世代の保険料負担増を抑えるため、医療費の

無駄をなくす改革を同時並行で進めることが重要だ。

政府は、国家資格を持つ介護福祉士などが本来の仕事に専念できるように、

シーツの交換や配膳を行う無資格の介護助手の増員を目指している。

こうした取り組みも着実に推進する必要がある。

外国人材を呼び込もうと、17年には技能実習生の対象職種に「介護」を

追加、19年には「特定技能」の在留資格も創設した。

受け入れが決まった介護の技能実習生は、20年度までに計約2万2900人。

特定技能の資格で介護を担う人は今年9月末時点で約3900人となった。

中国など他のアジア諸国の高齢化で、国際的な介護職員の奪い合いが

始まる中、日本の良さをアピールするなど人材確保に知恵を絞ることが

求められる。

今後、力を入れるべきは、社会保障の支え手を増やすことだ。

企業に定年の廃止・延長を促し、会社勤めの高齢者の厚生年金を減額する

仕組みを見直すなど、意欲のあるシニア層が働き続けやすい環境づくりを

急ぎたい。

保育所の充実などで子育て世代を支援し、女性の就業率を高めることも

大切だ。

今年6月、75歳以上が医療機関の窓口で払う自己負担を、所得が一定以上だと

現行1割から2割に増やす法改正が成立した。

高齢者にも能力に応じて保険料や窓口負担を求めることが欠かせない。

介護保険は来年、3年ごとの制度見直しに向けた議論が本格化する。

軽度者向けの買い物など生活援助の一部を保険給付から外して市町村事業に

移行するなど、給付抑制や負担増で「痛み」を伴う改革にも向き合う必要が

ある。ただし、給付をむやみに削れば、家計の負担がその分重くなる。

駒村康平・慶応大学教授(社会保障論)は「国民の安心感が損なわれ、

経済成長にも負の影響が出かねない。低所得者への給付などは充実させ、

国民が安心して働ける条件を整備すべきだ」と指摘する。

 

消費増税の議論

 

12年に旧民主、自民、公明の3党が合意した社会保障・税一体改革は、

消費税率を10%にして社会保障の持続可能性を高めることを目指した。

22年危機を念頭に置いていたが、10%の実現が4年遅れの19年10月となり、

税収増の一部は社会保障の赤字による国の借金無償化などに使途が変更

された。

安定した財政確保のため、「消費税率をいずれ10%超に引き上げざるを

得ない」というのが、社会保障に関わる有識者の共通認識といえる。

だが岸田首相は消費税率について「触ることは考えていない」と議論を

封印している。

コロナ禍に対応した大規模な経済対策で、財政規律のたがが外れ、安定

財源の確保は先送りされている。与野党ともに政治家が近視眼的になって

いる印象が否めない。

すぐ増税するのは無理でも、税率10%超を念頭に置いた改革の議論を始め、

国民が安心できる社会保障の将来展望を示す必要があるのではないか。

 

●●人口ピラミッドと団塊世代●●

 

1950年 高齢化率(65歳以上の割合)    4.9%  75歳以上  1.3%

2022年 高齢化率(65歳以上の割合) 29.3%  75歳以上 15.7%

2040年 高齢化率(65歳以上の割合) 35.3%  75歳以上 20.2%

 

●●必要となる介護職員数●● ※ 厚生労働省推計

 

2019年度(実績)  211万人

2025年度    243万人-32万人増

2040年度    280万人-69万人増

 

●●社会保障給付費の推移と将来推計

 

※ 2019年度までは国立社会保障・人口問題研究所の統計、

  将来推計は厚生労働省

 

● 2025(推計)

 

年金—59.9兆円+医療47.4兆〜47.8兆円+介護15.3兆+子育てなど17.7兆円 

 

総額 140.2兆〜140.6兆円

 

● 2040(推計)

 

年金—73.2兆円+医療66.7兆〜68.5兆円+介護25.8兆+子育てなど22.5兆円 

 

総額 188.2兆〜190.0兆円

 

● 露呈

 

隠れていた事柄が表面に現れ出ること。また、さらけ出すこと。

「矛盾が―する」「本性を―する」

 

● 懸念

 

気にかかって不安に思うこと。

「安全性に―を抱く」「先行きを―する」

 

● 拠出

 

金品を出し合うこと。「災害の見舞金を―する」

[補説]「拠出」は当て字。


 

私は、今年6月で満67歳になります。

 

私は、団塊の世代の方々は、戦後の日本を築いてきた方々だと思って

います。その方々が年齢を増し、そして〝高齢者〟となることで、いろ

いろな弊害が議論されております。

捉え方として、敬うべき人たちが、〝問題視〟されている現在の社会が

間違っているように思います。

社会イコール国の政策に問題があるのではないでしょうか。

誰しも長生きすれば、いろいろな問題が出てくることは当然のことです。

どのような対策を講じるべきかは、数十年前から統計済みのことです。

医療費拡大、年金問題、赤字国債増加、国会議員数削減等々、すべてに

おいて〝解決策〟ではなく、〝先送り策〟では、何ら良くはならない

でしょう。

今の若い世代や働き世代にも、長生きすることで、今の高齢者同様の

問題点は必ず、おこります。ついては、今からでも少しずつ解決して

いかないと、悪くなる方向へ猛スピードで進んでいくように感じます。

政府には、無駄な経費(給与、事務費等)は、どんどん削減していただき、

〝余剰金〟で〝借金返済〟に充当していただきたい。

それでも改善できないようであれば、消費増税も仕方がないと思います。

その為には、国民が納得する施策をどんどん実行していただきたいと

思います。

 

 

2022.1.6

株式会社シニアイノベーション

代表取締役 齊藤 弘美

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