「人を動かす人」になれ! ㊿+33
88.落ちこぼれを出さないために共通目標を持たせたグループをつくる
組織とはいっても、所詮は個人の集まりである。数名程度のグループで
あれば、各人の個性を見極め、個々に対応していくべきである。
定期的にマンツーマンで話し合う機会を設けて、どんなところにやりがいや
生きがいを求めているのかを探り出して、それを全面的にサポートして
やるという姿勢を明確に打ち出しておくことが、重要なポイントとなる。
しかし、人数が五○名、一○○名と増えてくれば、個人の発想から組織の
発想に転換していく必要がある。
組織の発想、すなわち組織を動かしていくうえで大事なことは、平均値で
やろうとすると必ず失敗するということだ。たしかに、平均値のあたりは
ボリュームゾーンで、このあたりをターゲットにすると組織全体が動き
そうだが、現実にはそうはならないのだ。なぜなら平均値よりレベルの
高いグループはやる気を失い、レベルの低い何人かは現実に落ちこぼれて
しまうだろう。
そうならないようにするためには、まったく別のテーマを二つ与えて、
1. 二つとも食らいついてきた
2. どちらか一方だけに食らいついてきた
3. どちらにも食らいついてこなかった
という三グループ(五○名ぐらいの組織の目安。人数によって二グループや
四グループ、それ以上になる場合もあるに)最初に分けておいて、各グループ
ごとに対応を変えていくというやり方がある。
たとえば、一のグループには新しいテーマをどんどん与えて組織の索引役を
務めさせる。二のグループには従来からやっていることを見直していったり、
改善していくことを主要業務にする。
三のグループについてはルーチンワークに専念させるといった具合だ。
ただし少人数でも同じだが、組織を分割してコントロールしていく場合
でも、組織全体に共通した目標や目的を掲げ、問題意識や危機意識は常に
一本化しておかなければならない。
そうしないと個人同士、あるいはグループ間の確執を生むこともあるので
注意が必要となる。
後はどれだけ人数が多くなっても、基本的な考え方は同じでよいが、一人
一人の考え方の違い、個々に何を一番求めているのかはできるだけ早期に
つかんでおく必要がある。
● 所詮
1. 最後に行き着くところを述べるときに用いる。どうこう言っても結局は。
つまるところ。多く、否定的な意味の語句を伴って用いる。
「―かなわぬ夢」「生意気を言っても、―は子供だ」
2. (命令・意志を表す語句を伴って)こうなったうえは。それでは。
「―こなたの念仏をば留め候ふべし」〈謡・隅田川〉
● 索引役
人の先頭に立ち、組織や集団を進むべき方向へと導く人のこと。
● ルーチンワーク
決まった手順で繰り返し行われる定常作業、あるいは日常の仕事をいう。
生産工場で決められた作業手順により、1台1個ごとに繰り返し行われる
作業、あるいは始業前の準備、終業時の整理整頓のように毎日決められた
手順で行う作業などをいう。
● 確執
互いに自分の意見を強く主張して譲らないこと。また、そのために生じる
不和。かくしゅう。「兄弟の間の―」
この続きは、次回に。