P.F.ドラッカー 「仕事の哲学」⑯
□ 知識労働者が満足を得るとき
知識労働者も経済的な報酬を要求する。報酬の不足は問題である。
だが、報酬だけでは十分でない。知識労働者は機会、達成、自己実現、
価値を必要とする。彼らは、自らを成果をあげる者にすることによって
のみ、それらの満足を得ることができる。
—-『経営者の条件』
□ 知識労働者は専門化せよ
知識労働者はほとんどが専門家である。
彼らは一つのことだけをよく行うとき、すなわち専門化したとき
大きな成果をあげる。
—『経営者の条件』
□ 専門知識を統合せよ
専門知識は断片にすぎない。それだけでは不毛である。
専門家のアウトプットは、他の専門家のアウトプットと統合されて
成果となる。
—-『経営者の条件』
● 不毛
なんの進歩も成果も得られないこと。また、そのさま。「―な議論」
● アウトプット
日本においてアウトプットとは「生み出す・発信する」という意味で
使われることが一般的で、わかりやすくいえば「話す」「書く」「行動
する」ことです。自分の能力を生かして何かの価値や成果を生み出したり、
自分の持っている知識を外部に発信したりすることがアウトプットに
当たります。2021/05/24
□ 知識に優劣はない
いかなる知識も、他の知識より上位にあることはない。
知識の位置づけは、それぞれの知識に固有の優劣性や劣位性によって
ではなく、共通の任務に対する貢献によって決定される。
「哲学は科学の女王」と言う。だが腎臓結石の除去には、論理学者
よりも泌尿器専門医を必要とする。
—-『ポスト資本主義社会』
● 優劣
すぐれていることと、おとっていること。まさりおとり。
「―を争う」「二人の能力に―はない」
● 劣位(れつい)
他より劣っている位置・地位。⇔優位。
□ 理解されることの責任
知識ある者は、理解されるよう努力する責任がある。
素人は専門家を理解するために努力すべきであるとしたり、専門家は
専門家と通じれば十分であるとするのは、野卑な傲慢である。
—-『経営者の条件』
● 野卑(やひ)
言動が下品でいやしいこと。また、そのさま。「―な言葉遣い」
● 傲慢(ごうまん)
おごりたかぶって人を見くだすこと。また、そのさま。
「―な態度」「―無礼」
□ 課される要求に応じて成長する
知識労働者は、自らに課される要求に応じて成長する。
自らが成果や業績とみなすものに従って成長する。
—-『経営者の条件』
□ 知識労働者は起業家たれ
知識労働者は、すべて起業家として行動しなければならない。
知識が中心の資源となった今日においては、トップマネジメントだけで
成功をもたらすことはできない。
—『創造する経営者』
● トップ‐マネージメント(top management)
企業の経営管理組織の最上層部。
人事・経営方針などの重要事項についての意思決定を行う。
この続きは、次回に。