P.F.ドラッカー 「仕事の哲学」㉚
DRUCKER SAYINGS ON INDIVIDUALS
第13章 時間管理
時間は、最も希少な資源である。
しかも、時間を管理できなければ、何も管理できない。
—-『経営者の条件』
□ 無駄に費やされる時間
成果には何も寄与しないが無視できない仕事に時間をとられる。
膨大な時間が、当然に見えながら、実はほとんどあるいはまったく
役に立たない仕事に費やされる。
—『経営者の条件』
● 寄与
社会や人のために役に立つこと。貢献。「世界平和に―する」
□ 時間管理に万能薬はない
我々は、時間管理について霊験あらたかな万能薬を求める。
速読法の講座への参加、報告書の一ページ化、面会の一五分制限等々で
ある。これらは、すべていかさまである。それこそ時間の無駄である。
—–『現代の経営』
● 霊験あらたか
霊験あらたかの「霊験(れいげん、れいけん)」とは、人々の祈りに
応えて神様が姿を現すこと、ご利益を与えること。
すなわち、神様の自己顕示、自己主張である。「あらたか」の「あら」は
「現れる」の「あら」と同源で、「あらたか」は、はっきりあらわれて
いる様子をいう。したがって「霊験あらたか」とは、神様の目立ちぐあいが
ハンパないという意味である
● 万能薬
万能薬(ばんのうやく、英: panacea、独: Panazee, Allheilmittel)とは、
全ての、あるいは非常に広い範囲の病気や怪我に効果があると称される
薬のこと。主に宣伝・広告の都合上の概念、また神話的・仮想的概念と
して用いられる。
□ 考えることに時間を使う
時間の使い方を知っている者は、考えることによって成果をあげる。
行動する前に考える。繰り返し起こる問題の処理について、体系的かつ
徹底的に考えることに時間を使う。
—-『現代の経営』
□ 計画から始める誤り
仕事に関する助言というと、計画しなさいから始まるものが多い。
まことにもっともらしい。問題は、それでうまくいかないことにある。
計画は紙の上に残り、やるつもりのまま終わる。
—-『経営者の条件』
□ 時間からスタートせよ
成果をあげる者は、仕事からスタートしない。時間からスタートする。
計画からもスタートしない。何に時間がとられているかを明らかにする
ことからスタートする。次に、時間を管理すべく、時間を奪おうとする
非生産的な要求を退ける。そして最後に、えられた自由な時間を大きく
まとめる。
—–『経営者の条件』
● 退ける(しりぞける)
1. 後方へ下がらせる。引き下がらせる。その場から遠ざける。
「通訳を―・けて会談する」
2. こちらに向かって来るものを負かしたり、寄せつけず追い返したりする。
撃退する。「攻め来る敵を―・ける」「凡打に―・ける」「誘惑を―・ける」
□ 時間の使い方を記録せよ
時間の活用と浪費の違いは、成果と業績に直接現れる。
知識労働者が成果をあげるための第一歩は、実際の時間の使い方を
記録することである。
—–『経営者の条件』
この続きは、次回に。