P.F.ドラッカー 「仕事の哲学」㉙
□ 難しいのは劣後順位の決定
誰にとっても、優先順位の決定はそれほど難しくない。
難しいのは劣後順位の決定、なすべきでないことの決定である。
延期は放棄を意味する。一度延期したものを復活させることは失敗である。
このことが、劣後順位の決定をためらわせる。
—-『創造する経営者』
● 劣後順位
劣後順位とは、「やるべきでないことを決めること」。
大小さまざまな案件に関し、「自分はやらずに部下に任せる」「今は手を
つけないでおく」「やらないことにする」などの判断を行なっていきます。
2013/07/03
□ 過去への奉仕を減らす
前任者や自分が昨日行った意思決定の後始末のために、今日、時間と
エネルギーと頭を使わなければならない。
この種の仕事が時間の半分以上を占める。
それらのうち、成果を期待できなくなったものを捨てることによって、
過去への奉仕を減らしていかなければならない。
—–『経営者の条件』
□ 昨日の成功を捨てる
完全な失敗を捨てることは難しくない。自然に消滅する。
ところが昨日の成功は、非生産的となった後も生き続ける。
もう一つ、それよりも遥かに危険なものがある。
本来うまくいくべきでありながら、なぜか成果が上がらないまま
続けている仕事である。
—–『経営者の条件』
□ 廃棄が新しい仕事を進める
古いものの計画的な廃棄こそ、新しいものを強力に進める唯一の方法で
ある。アイデアが不足している組織はない。創造力が問題なのではない。
せっかくのよいアイデアを実現すべく仕事をしている組織が少ないことが
問題なのである。みなが昨日の仕事に忙しい。
—–『経営者の条件』
□ この仕事は今も価値があるか
自らが成果をあげ、組織が成果をあげることを望む者は、計画、活動、
仕事を常時点検する。これは今も価値があるかと問う。
—-『経営者の条件』
□ 見直すべき優先順位と劣後順位
優先順位や劣後順位は、つねに現実に照らして検討修正しなければならない。
歴代のアメリカ大統領のうち、就任時の優先順位のリストを変更させられ
なかった者はいない。優先順位の高い仕事を実現していくことによっても、
優先順位は変わっていく。
—–『経営者の条件』
□ 集中するほど多くの仕事ができる
時間と労力と資源を集中するほど、実際にやれる仕事と種類が多くなる。
これこそ、困難な仕事をいくつも行なう人の秘訣である。
一時の一つの仕事をする。その結果、他の人よりも少ない時間しか
必要としない。成果を上げられない人のほうが多く働いている。
—–『経営者の条件』
この続きは、次回に。