P.F.ドラッカー 「仕事の哲学」㉘
DRUCKER SAYINGS ON INDIVIDUALS
第12章 優先順位
なすべきことは、利用しうる資源よりも多く残る。
機会は実現のための手段よりも多い。
したがって、優先順位を決定しなければ何事もなしえない。
—-『創造する経営者』
● 優先順位
「優先順位」とは、「ものごとが優先される順番」という意味の言葉です。
英語で言えば、「Priority(プライオリティ)」がこれにあたります。
「優先」は「他よりも先にすることになっていること」を指し、「順位」は
「順序に従って決めた位置・地位」を指します。つまり「優先順位」は、
「複数あるものごとのうち、何をどの順番でやるべきか」について言う
言葉であるということになります。
□ 優先順位が戦略と行動を規定する
優先順位の決定によって、よき意図が成果をあげるコミットメントへ、
洞察が行動へと具体化する。優先順位の決定が、マネジメントの視点と
真摯さを物語る。基本的な戦略と行動を規定する。
—–『創造する経営者』
● コミットメント
コミットメント(commitment)とは、ビジネスの場では業務や業績目標に
対して「責任を持つ」「約束をする」という意味で多く用いられます。
● 洞察
物事を観察して、その本質や、奥底にあるものを見抜くこと。見通すこと。
「人間の心理を―する」「―力」
● 真摯さ
ひたむきに、誠実に事に当るさま。 またはその度合い。
□ 自らが決定せよ
どの仕事が重要であり、どの仕事が重要でないかの決定が必要である。
自らが決定するか、仕事からの圧力が決定するかである。
—–『経営者の条件』
□ 仕事からの圧力が優先するもの
仕事からの圧力は、未来よりも過去に起こったものを、機会よりも危機を、
外部に実在するものよりも内部の直接目に見えるものを、さらには、重大な
ものよりも切迫したものを優先する。
—–『経営者の条件』
● 切迫
1. 期日などが間近に迫ること。「返済期限が―する」
2. 緊張した状態になること。逃げ場のない追いつめられた状態になること。
「経済情勢が―する」
□ 重要なのは分析ではなく勇気
優先順位の分析については、多くのことが言える。しかし、優先順位の
決定について最も重要なことは、分析ではなく勇気である。
—–『経営者の条件』
□ 優先順位決定のための四つの原則
優先順位の決定には、いくつか重要な原則がある。すべて分析ではなく
勇気にかかるものである。
第一に、過去ではなく未来を選ぶ。
第二に、問題ではなく機会に焦点を合わせる。
第三に、横並びではなく独自性をもつ。
第四に、無難で容易なものではなく、変革をもたらすものを選ぶ。
—–『経営者の条件』
□ 挑戦の大きな仕事を選ぶ
挑戦の大きなものではなく、容易に成功しそうなものを選ぶようでは、
大きな成果はあげられない。膨大な注釈の集まりは生み出すだろうが、
自らの名を冠した物理の法則や、新たなコンセプトは生み出せない。
成果をあげる者は、機会を中心に優先順位を決め、他の要素は決定要因
ではなく制約要因にすぎないとする。
—–『経営者の条件』
● 注釈
語句の意味や用法を解説したり、補足的な説明を加えたりすること。
また、その説明。「専門用語を―する」「―書」
● 冠した
「という名前を付けた」「~という称号を付けた」などという意味の
言い回し。「冠する」は上に被せる、上に乗せるなどという意味。
「人名を冠した駅名」という場合は、「人名が付いた駅名」「人名が
名称の一部に含まれた駅名」という意味。
この続きは、次回に。