P.F.ドラッカー 「仕事の哲学」㉜
□ 何かを伝えるには一時間はかかる
何かを伝えるには、まとまった時間が必要である。
計画や方向づけや仕事ぶりについて、部下と一五分ではなせると思っても、
勝手にそう思っているだけである。
肝心なことをわからせ、何かを変えさせたいのであれば、一時間はかかる。
—-『経営者の条件』
□ じっくり耳を傾ける
成果をあげる組織では、トップマネジメントが意識して時間を割き、
ときには新入社員に対してまで、あなたの仕事について私は何を知ら
なければならないか、この組織について何か気になることはないか、
我々が手をつけていない機会はどこにあるか、気づいていない危険は
どこにあるか、私に聞きたいことは何かとじっくり聞いている。
—–『経営者の条件』
□ ゆとりある話し合いが近道
組織内の話し合いはくつろいで行わなければならないだけに、膨大な
時間を必要とする。ゆとりがあると感じられなければならない。
それが結局は近道である。
—-『経営者の条件』
□ ともに働く人が多いほど
仕事の関係に人間関係がからむと、時間はさらに必要になる。
急げば摩擦を生じる。あらゆる組織が、仕事の関係と人間関係の複合の
上に成り立つ。ともに働く人が多いほど、その相互作用だけで多くの時間が
費やされる。仕事や成果や業績に割ける時間がそれだけ減る。
—-『経営者の条件』
□ こま切れの時間では意味がない
仕事のほとんどは、わずかの成果をあげるためでも、かなりのまとまった
時間を必要とする。こま切れでは意味がない。
—-『経営者の条件』
□ まとまった時間をつくる方法
ある人たち、なかでも年配の人たちは、週に一日は家で仕事をしている。
編集者や研究者がよく使う方法である。
ある人たちは、会議や打ち合わせなど日常の仕事を週に二日、たとえば
月曜日と金曜日に集め、他の日とくに午前中は、重要な問題についての
集中的かつ継続的な検討にあてている。
—-『経営者の条件』
□ 汝の時間を知れ
汝自身を知れという昔からの知恵ある処方は、悲しい性(さが)の人間に
とっては、不可能なほどに困難である。だが、その気があるかぎり、
汝の時間を知れという命題には、誰でも従うことができる。
その結果、誰でも貢献と成果への道を歩むことができる。
—-『経営者の条件』
● 性(さが)
人が本来そなえている性質。うまれつき。たち。「人の―は善である」
この続きは、次回に。