P.F.ドラッカー 「仕事の哲学」㉝
DRUCKER SAYINGS ON INDIVIDUALS
第14章 第二の人生
歴史上初めて、人間のほうが組織よりも長命になった。
そこでまったく新しい問題が生まれた。
第二の人生をとうするかである。
—-『明日を支配するもの』
□ 働く者は組織よりも長命
これまでの社会は、二つのことを当然とする社会だった。
第一に、組織はそこに働くものよりも長命であって、第二に、そこに働く
者は組織に固定された存在だった。
これに対し、自らをマネジメントするということは、逆に現実に立つ。
働く者は組織よりも長命であって、自由に移動する存在であるとする。
—–『明日を支配するもの』
□ 第一の人生の限界
順調にやってきた四五歳あるいは五○歳といえば、心身ともに働き盛りで
ある。その彼らが仕事に疲れ飽きたということは、他への貢献、自らの
成長のいずれにおいても、第一の人生では行き着くところまで行ったと
いうことであり、そのことを知ったということである。
—-『断絶の時代』
□ 第二の人生で再び成長する
仕事に挑戦を感じなくなった者は、成長が止まったと思う。
たしかに現在の仕事では、成長が止まったかもしれない。
だが、有能であり、病気でないならば、仕事さえ変えれば再び成長する。
第二の人生は、仕事への不満や倦怠から逃れるための酒や、火遊びや、
精神分析医よりも、遥かに面白いはずである。
—-『断絶の時代』
● 倦怠
飽きて嫌になる時期。 特に夫婦の間柄についていう。
心身が疲れてだるい感じ。 また、物事に飽きて興味が持てない感じ。
□ 老いてなお最高の仕事をする
人は皆同じように老いているのではない。エネルギッシュに働くことは
できなくとも、判断力に狂いがなく、二○年前よりも優れた意思決定を
行なう人がいる。助言者としても、年とともに欲を離れ、かつ知恵と
親身さを併せ持つならば、最高の仕事をする。
—-『断絶の時代』
● 親身さ
肉親のように細やかな心遣いをするさま。
□ トビラを開く三つの方法
問題の解決には三つの方法が助けとなる。
第一の方法は、文字通り第二の人生をもつことである。
たんに組織を変わることでもよい。
第二の方法は、パラレル・キャリア(第二の仕事)、すなわち本業にあり
ながらもう一つ別の世界をもつことである。
第三の方法は、ソーシャル・アントレプレナー(社会的起業家)になること
である。仕事は好きだが、もはや心躍るほどのものではない。
そこで、仕事は続けるが、時間は減らしていく。
そして新しい仕事、とくに非営利の仕事を始める。
—-『明日を支配するもの』
□ 組織だけが人生である弊害
仕事オンリーでは、組織だけが人生であるために、組織にしがみつく。
空虚な世界へ映るという恐ろしい退職の日を延ばすために、若い人たちの
成長の妨げになってでも、自らを不可欠な存在にしようとする。
—-『現代の経営』
● 空虚
1. 内部に何もないこと。また、そのさま。から。
「―なる嚢袋 (ふくろ) は直上に立つこと能わず」〈中村訳・西国立志編〉
2. 実質的な内容や価値がないこと。むなしいこと。また、そのさま。
「―な論」「―な生活」
この続きは、次回に。