P・F・ドラッカー「創造する経営者」③
P.F. Drucker Eternal Collection 6
Managing for Results
Part:I
第1部❖事業の何たるかを理解する
第1章❖企業の現実
□ 企業の本業は三種類
経営者が未来に対し十分な時間と思索を割いていないとは、よく聞く
批判である。経営者自身も、仕事について同僚に話したり書いたりする
とき、同じことをいう。経営書も同じことをいう。
この批判は正しい。経営者は事実の未来について、もっと時間と思索を
割かなければならない。社会的貢献や地域活動にも時間と思索を割かな
ければならない。これらのものをおろそかにはできない。
しかし、経営者が、明日の仕事に少しの時間しか割いていないことを嘆く
だけでは、問題の解決にはならない。明日をおろそかにしていることは
一つの症状にすぎない。明日をおろそかにしているのは、今日のことを
放っておいては先に進めないからである。しかしこれも症状にすぎない。
真の病因は、経済的な課題に取り組むための知識と方法論が存在しない
ことにある。
通常、今日の仕事が経営者の時間のすべてを奪っている。
しかしその今日の仕事さえうまく行われていることは稀である。
目の前の仕事に満足している経営者はほとんどいない。経営者たちは、
日常の目まぐるしさに紛れ、未決箱に積み上げられた書類によって酷使
されている。
もちろん、あれこれの急を要する問題を解決するための緊急プランでは、
的確かつ永続的な成果はあげられないことはわかっている。
それにもかかわらず、次から次へと緊急プランに追われている。
しかも、何度問題を解決しようが、同じ問題がまた起こる。
明日の問題に取り組むには、その前に今日の問題を時間をかけずに効果的に
解決しなければならない。そこで今日の仕事に対する体系的なアプローチが
必要とされる。
● 思索
論理的に筋道を立てて考えること。思惟。
「―にふける」「人生の意味を―する」
● 病因
病気の原因
この続きは、次回に。