お問い合せ

P・F・ドラッカー「創造する経営者」④

企業にとって今日行うべき仕事は三つある。

 

● 今日の事業の成果をあげる

● 潜在的な機会を発見する

● 明日のために新しい事業を開拓する

 

これらの三つの仕事にはそれぞれ異なるアプローチが必要である。

異なる問題提起が必要である。したがって結論もまったく異なったものと

なる。しかしこれらの三つは、切り離すことはできない。しかも同時に

行わなければならない。いずれも今日行わなければならない。

そして、同じ組織によって、同じ資源、知識、資金を用いて、企業家的な

プロセスによって行わなければならない。

未来は明日つくるものではない。今日つくるものである。

今日の仕事との関係のもとに行う意思決定と行動によって、今日つくる

ものである。逆に、明日をつくるために行うことが、直接今日に影響を

及ぼす。

三つの仕事は重なり合う。したがって一つの統合された戦略が必要である。

さもなければ三つの仕事のいずれもが不可能となる。

これら三つの仕事に同時に取り組むためにはもちろん、そのうちの一つに

取り組むためにさえ、経済的な存在としての企業の現実、経済的な成果を

あげる能力、利用しうる資源と可能な成果との関係について、理解して

おかなければならない。

さもなければ、めまぐるしさに翻弄されるだけである。しかし、そのような

理解は、既成の概念によって与えられはしない。

企業ごとに手に入れなければならない。

とはいえ、本章において述べる仮説は、あらゆる企業にとっておおむね

共通である。企業はそれぞれ異なるものの、その基本においては、ほとんど

同じである。規模や構造、製品や技術や市場、社風や経営能力の如何に

かかわらず同じである。そこには共通の現実がある。

ほとんどの企業に、ほとんど常にいえることが二つある。

一つは、企業の成果と資源についてであり、一つは企業自身の活動について

である。これら二つのことについての仮説から、企業家的な仕事という

ものの性格と方向に関して、いくつかの結論が導き出される。

それらの仮説のほとんどは陳腐に聞こえよう。よく知られているものとも

いえる。しかし、それらの仮説を全体としての見ることのできる者は少ない。

いかに経験や知識に合致としていようとも、そこから実際の行動のための

結論を引き出せる者はきわめて少ない。

その結果、いかに述べる「企業の現実」についての仮説はもちろん、自らの

実際の経験と知識に基づく仮説にさえ、自らの活動の基礎を置いている者が

あまりに少ない。

 

● 翻弄

 

思うままにもてあそぶこと。手玉にとること。「運命に―される」

 

 

この続きは、次回に。

 

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