P・F・ドラッカー「創造する経営者」⑤
□ 企業の現実についての仮説
(1) 成果と資源は企業の内部にはない。いずれも外部にある。
およそ企業の内部には、プロフィットセンターはない。内部にあるのは
コストセンターである。技術、販売、生産、経理のいずれも、活動が
あってコストを発生させることだけは確実である。
しかし成果に貢献するかはわからない。
成果は、内部にいる者や、企業の支配下にある者によって決められるの
ではない。市場経済における顧客、統制経済における政府当局といった
外部の誰かによって決められる。企業の活動が、成果を生むか無駄に
終わるかを左右するのは、企業の外部にいる者である。
同じことは、あらゆる企業にとって、独自かつ唯一の資源ではない。
企業を差別化する唯一にして特有の資源は、科学技術から社会、経済、
経営にいたる知識を活用する能力である。企業が市場において価値ある
ものをつくれるのは、知識のおかげである。
しかし、知識そのものは特定の企業だけの資源ではない。普遍的かつ
社会的な資源である。知識は長期にわたって秘密にしておくことはでき
ない。「誰かにできたことは、ほかの誰かが行う」ことは、昔から常識で
ある。したがって、知識という企業にとって決定的な資源も、企業の成果と
同じように企業の外にある。
企業とは、外部にある資源すなわち知識を、外部における成果すなわち
経済的な価値に転換するプロセスであると定義することができる。
● プロフィットセンター
プロフィットという単語は、「利益」や「収益」という意味を持ちます。
ビジネスにおいては、プロフィットセンターは「利益を生み出す部門」を
指して使われる用語です。企業の中で利益を生み出す部門というと、
営業部門が真っ先に思い浮かぶ方は多いでしょう。
実際は、営業企画部門やマーケティング部門、メーカーの製造部門、
経営戦略部門などもプロフィットセンターに位置付けられることが
あります。企業によっては、支店や営業所をプロフィットセンターと
定義するケースもあるようです。
プロフィットセンターではその部門に関する収入と費用の両方が集計され、
差額である利益を最大化するようにミッションが与えられます。
なお、国内においては「事業部制」と呼ばれることもあります。
● コストセンター
コストセンターとはプロフィットセンターと対になる概念で、会社にとって
利益を生まず「コストとなる部門」を指します。
具体的には、総務部や人事部、経理部などの間接部門など。
研究施設や倉庫部門などもコストセンターに含まれることも多いようです。
コストセンターは、部門に係る費用を最小限に収めることをミッションと
しています。
この続きは、次回に。