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P・F・ドラッカー「創造する経営者」㊲

(7) 手直し用製品

 

この類型に分類するには厳格な要件が必要である。すなわち、かなりの

売上高、大きな成長機会、市場における際立ったリーダーシップの可能性、

成功した場合の見返りとしての大きな成果である。

しかも、手直しが必要な欠陥が明確であり、その手直しがかなり容易で

あり、かつ現実に大きな利益と成長の機会が奪われてしまっているもので

なければならない。そして手直し用製品は、そのような欠陥を一つだけで

もつ。

 

製品Eが手直し用製品である可能性がある。顧客が購入しやすくなるように、

別途提供しているアフターサービスを製品の中に組み込んでしまうならば、

この製品は利益のあがる立派な生産的特殊製品となる。

しかもそうすることによって、売上げが大きく伸びるならば、大きな利益を

もたらす量産品すなわち主力製品にまでなれる。現在何が欠けているかは

明らかである。マネジメントが欠けているのである。

手直し用製品は、間違った顧客を相手にしている場合もある。売るべき

相手に売っていない場合がある。あるいは、間違った流通チャネルを使って

いる場合がある。したがって製品以外の領域について分析するならば、

多くの手直し用製品を見つけることができるに違いない。

 

ユニバーサル・プロダクツ社の場合、すでに過去のものになっている

製品Iがその後手直し製品とされ生き返った。

アメリカの市場では製品Iの陳腐化をもたらした原因そのものが、中南米の

市場では理想的な条件となった。そこではシンプルな製品が求められて

いた。同社の中南米の三つの子会社は、市場ではまだリーダーシップを

握っていたものの、急速に利益があがらなくなっていた。簡単な機械を

使っているだけのヨーロッパ製品に立ち向かうべき製品がなかったから

だった。

そこで同社では、製品Iのアメリカ国内での生産を中止し、中南米の子会社

三社に生産させた。アメリカ国内での営業活動は中止し、まだ残っている

国内向けにはメキシコの子会社から輸入することにした。

今日、ユニバーサル・プロダクツ社の中南米子会社にとって、製品Iは

今日の主力製品となっている。三社のうちメキシコの子会社はカリブ海

諸国に輸出までしている。そしてその輸出高が親会社のアメリカ国内に

おけるかつての売上高を超えるにいたっている。

 

この続きは、次回に。

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