『成しとげる力』⑮
第4章 変化をとらえよ!大きく見て小さく歩め
○ 世の中を見る「鳥の眼」と「虫の眼」をもて
世の中の流れをつかみ、対処していくためには、「鳥の眼」と「虫の
眼」が必要である。はるか上空から地上を見下ろして、全体の様子を
一望のもとにつかむのが鳥の眼だ。一方、地面に張りついて、どんな
小さな変化も見逃さないのが虫の眼である。
どんな隆盛を極めた事業でもピークアウトは必ず訪れる。このことを
忘れて、いつまでもこれまでの事業にしがみついていたら会社に未来
はない。中長期的な視点に立って次の手を打つことが、何よりも大事だ。
それも競争相手に先んじて素早く判断することが求められる。
そのときに必要なのが、「鳥の眼」である。鳥の眼がとらえるものは、
世の中の全体像であり、時代の大きな流れである。そして、その視点の
先には五年後、十年後の近未来が映っているはずだ。
それさえしっかりつかめば、いま現在、自分が何をすべきか、何が求め
られているのかが見えてくる。鳥の眼とは、時代を先読みする眼とも
いえる。
○ 地道な調査と情報収集が成功に結びつく
大きな変化を決断するときには、それだけ丹念なリサーチが必要なことを
忘れてはならない。それなくしては、「鳥の眼」をもってしても、真実の
姿をつかむことはできない。そして、ひとたび腹を決めたら、不退転の
決意で、できるまでやり抜くことである。
○ 千の種をまいて三つの花が咲けばよい
こうした話をすると、たんに運がよかったからだという人も多いが、
ここに至る道は決して平坦なものではなかった。
百挑戦したとしたら、成功するのは一つか二つにすぎない。
残りの九十八か九十九は失敗しているのだ。まして、会社の運命を
変えるような大成功は、千のトライで三つほどしかない。
まさに「千三つ」だ。つまり、それだけ種をまかなければ、花の咲く
木は育たないということだ。
このように種をまいたあとは、水をまいて、さらには肥料も施し、汗水
流して育てていかなければならない。気が遠くなるような作業のくり
返しだ。それでも、花を咲かせずに枯れてしまう木もある。
いや、ほとんどの木が枯れてしまうのだ。だから、大きな木から小さな
木まで、できるだけ多くの種を、あらゆる畑にまいておくのだ。
ことほどさように、成功を手にするのは容易なことではないのだ。
世の中は、とかく成功者ばかりに注目が集まるが、その陰には、数知れ
ない失敗者の屍が横たわっている。その成功者にしても、幾多の失敗を
くり返し、それを乗り越えた末に、ようやく物事を成しとげることが
できるのだ。世の成功を手にする者は挑戦の分母が桁違いに多いという
ことを、胸に刻んでほしい。
この続きは、次回に。