○ これからはモータが産業の〝コメ〟になる

技術者は往々にして失敗を恐れて、挑戦することから逃げる傾向がある。

初めから「できない」と否定から入るのでは、成長は望めない。

どんどんチャレンジしていくことが大切なのだ。

もちろん、失敗することもあるだろう。しかし、その失敗を分析する

ことで、一つひとつ階段を上がり、成功に近づくのである。

ためらわずにトライして、失敗や挫折をくり返しながら、成功率を

上げていくことである。

○ ゆでガエルになるな、時代の変化に対処せよ

物事には、変えてはいけないものと変えていかなければならないものが

ある。

変えてはいけないものとは、いわば土の下の根っこである。

会社でいえば理念、社是、あるいは基本精神。

こうした根っこはより深く、より広く地中に広がっていかなければ

ならない。しかし一方で、土の上の枝葉はどんどん変えていかなければ

いけない。土より上の枝葉が春夏秋冬と装いを変え、四季の移ろいと

ともにさまざまに変化するようなものだ。体に合わない小さく古い服は

脱ぎ捨て、身の丈に合った新しい服に袖を通して時代の最先端を走り

続けなければならない。

かつて、「築城三年、落城三カ月」といわれた時代があった。

どんなに時間をかけて築き上げたものであって崩れ去るのは早いという

意味だが、それが「築城三年、落城三日」といわれるようになって久しい。

ところがいまやITの発達とグローバル化によって「落城三時間」とも

いうべき時代が到来しているのだ。

それがいま世界で起こっている厳しいグローバル競争の実態である。

我々は時代の変化を敏感に嗅ぎ取り、バージョンアップしなければ

ならない。順調なときほど先を見通し、次の一手を考えることが重要だ。

次に訪れる世界を読むことが必要なのだ。

有名な寓話だが、カエルを熱湯に入れると驚いて飛び出すが、常温の

水に入れて徐々に熱するとどうなるか。カエルは温度変化に慣れていき、

危険に気づいたときはすでに遅く、ゆで上がって死んでしまう。

まわりを見回してみると、そのような〝ゆでガエル人間〟のなんと多い

ことか。もしかしたら自分もそのなかに含まれているのではと、つねに

反省する日々である。

では、ゆでガエルになってしまうのはどんな人間か。

その特徴は「マンネリ・あきらめ・怠慢・妥協・おごり・油断」の

〝六悪〟に集約できる。

すなわち、「工夫もせずに前例踏襲ばかりをくり返してはいないか

(マンネリ)」「挑戦せずに望みを捨ててはいないか(あきらめ)」

「やるべきことを疎かにしてはいないか(怠慢)」「『これくらいで

いいや』と手を抜いていないか(妥協)」「他人の意見に謙虚に耳を

傾けているか(おごり)」「気が緩んで再三、ミスを犯してはいないか

(油断)」という六つの要素である。

この六悪という病理現象は、順風満帆のときほど蔓延しやすいので

厄介である。会社でいえば、製品のシェアが九十パーセント以上に

なると、その兆候が見え始める。競争相手がいなくなると気が緩み、

緊張感がなくなるのだ。頂点を極めたビジネスにいつまでもしがみ

ついていれば、必ず会社は自滅する。

「脱皮しないヘビは死ぬ」ということわざどおり、まわりの変化に

先行して自己変革しなければ、あっというまに「負け組」に入って

しまう。そのことを自戒すべきである。生き残れるのはもっとも強い

者でも、もっとも賢い者でもない。変化できる者だけなのである。

● 社是

社是とは、企業経営をしていくうえでの基本方針のこと。

「是」＝「正しい」という意味から、会社が「正しい」と考える在り

方を言葉にしたものだと言えます。

社是に似た言葉として「経営理念」や「社訓」「ミッションステート

メント」などがありますが、明確に違いを理解できていない方も多い

のではないでしょうか。

● 前例踏襲(ぜんれいとうしゅう)

「前例踏襲」という言葉は、これまでのやり方（前例）をそのとおり

にやる（踏襲）という意味です。2021/10/06

● 順風満帆(じゅんぷうまんぱん)

「順風満帆」は「順風（追い風）を帆いっぱいにはらむこと。

 転じて物事がすべて順調に運ぶこと。 

ことが非常にうまく進むこと。 その様子」を意味します。

2013/08/01

● 自戒

「自戒」は、自分自身をいましめ律することをいう。

この続きは、次回に。