「道をひらく」松下幸之助 ㊿+13
・同じ金でも
同じ金でも、他人からポンともらった金ならば、ついつい気軽に
使ってしまって、いつのまにか雲散霧消。金が生きない。
金の値打ちも光らない。
同じお金でも、アセ水たらして得た金ならば、そうたやすくは使え
ない。使うにしても真剣である。慎重である。だから金の値打ちが
そのまま光る。
金は天下のまわりもの。自分の金といっても、たまたまその時、
自分が持っているというだけで、所詮は天下国家の金である。
その金を値打ちもなしに使うということは、いわば天下国家の財宝を
意義なく失ったに等しい。
金の値打ちを生かして使うということは、国家社会にたいする
おたがい社会人の一つの大きな責任である。義務である。
そのためには、金はやはり、自分のアセ水たらして、自分の働き
でもうけねばならぬ。自分のヒタイのアセがにじみ出ていないよう
な金は、もらってはならぬ。借りてはならぬ。
個人の生活然り。事業の経営然り。そして国家の運営の上にも、
この心がまえが大事であろう。
● 雲散霧消
雲が散り霧が消え去るように、あとかたもなく消えてなくなること。
● 汗水垂らして
多量の汗を体から滴らせているさま。 一生懸命働く様子を表して
言うことが多い。2012/07/20
● 金は天下のまわりもの
この言葉は一般的に、世の中は浮き沈みが激しいので、お金持ちが
手にしているお金は永遠ではないという意味で使われています。
これが転じて、ケチケチしても意味がない、さらには浪費癖のある
人なら「パッと使ってしまえ」というニュアンスで使われることも
多いようです。
この続きは、次回に。