続「道をひらく」松下幸之助 ㉝
● 自分は自分
人間と犬とはちがう。これは見ただけでわかる。だからお互いに犬の
真似はしない。人間としての誇りを知らず知らず持っているからである。
だが、見ただけでわからないのが人間同士である。なるほど顔もちが
えば気性もちがう。これは誰でも知っている。だから人を見違えるよ
うなことを誰もしない。それなのに、どうしてみんなあんなに、他人
と同じようなことをやりたがるのだろう。
自分は自分である。百億の人間が居っても、自分は自分である。
そこに自分の誇りがあり、自信がある。そしてこんな人こそが、社会
の繁栄のために本当に必要なのである。
自分を失った人間が百億居っても、それこそ烏合の衆にすぎない。
自己を認識しないで、ただいたずらに他人の真似をしたがるのは、
あたかも人間が犬の真似をするのと同じである。そこには何の誇り
もない。
お互いに、自分が他人とちがう点を、もっとよく考えてみよう。
そして、人真似をしないで、自分の道を自分の力で歩んでいこう。
そこにお互いの幸福と繁栄の道がある。
この続きは、次回に。