Think clearly シンク・クリアリー ㊱-1
36. 注意の向け方を考えよう—-もっとも重要な資源との付き合い方
□ 「アラカルトメニュー」を頼んだほうが幸せ?
あなたはいま、レストランでメニューを見ている。さて、何を頼もう?
選択肢は二つある。いろいろ試せる「サプライズセットメニュー」か、自分で
フルコースの中から内容を選べる「アラカルトメニュー」か。
あなたは、前菜やメインをひとつひとつ注文すると、セットメニューより割高になる
ことに気づく。おまけにセットメニューには、ワインまでついている。
そこであなたは、いろいろ試せるセットメニューのほうを注文する。
「そちらのほうがずっとお得ですからね」。ウエイターはほほえみながらいった。
「ほとんどの方がそちらをご注文なさいます。」
すると、本当に次から次へといろいろな料理が運ばれてくる。
(中略)
二○皿ほど食べたところで、あなたは会計を頼む。これほどの量を食べたのも、これほ
どめちゃくちゃな順序で食べたのも、これほど食事の後に気分が悪くなったのも、初め
てだった。
会計しながらあなたは思う。いくらトータル的にお得だとしても、アラカルトメニュー
で個々にオーダーすればよかったのかもしれないなと。
□ 成功の一番の理由は「フォーカス」である
ところ変わって、ここは実際にあった夕食の席での一場面。出された料理はどちらかと
いえば伝統的で無難にものだったが、食事客のほうは豪華だった。
大勢の大富豪が招待されていて、客の中にはウォーレン・バフェットやビル・ゲイツも
いた。
ゲイツは、会場に居合わせた人々にこう尋ねた。「あなたたちが今の成功を手にできた
一番の要因はなんですか?」。バフェットは「『フォーカス』だね」と答えた。
ゲイツも同意見だった。
ここでいう「フォーカス」とは、彼らの「着眼点」や彼らが「注意を向けた点」という
意味である。どこに注意を向けるかが、成功を手にするための大きな要因であると
いうこと。それは、どうやら間違いないらしい。
あなたの人生においても、「どこに注意を向けるか」は、やはり重要な意味を持って
いる。それなのに、私たちは自分が注意を向ける方向を驚くほど重視していない。
(中略)
情報の中には役に立つものもある。情報は私たちにいろいろ訴えかけてくる。だから、
それを見ている私たちは、少しばかり「王様」のような気分になる。
だが実情を考えたら、私たちは「王様」というより、むしろ誰かに操られる「奴隷」の
ような気がしていなければならないのだ。
私はこう思っている。私たちの前に提示されている「情報」は、実際には贈り物では
なく、略奪行為だ。利益ではなく、損失だと。
情報は私たちに何かを与えているのではなく、逆に私たちから何かを盗んでいる。
ネット上でどんなにきれいに見えていても、インスタグラムの投稿は略奪である。
ニュース速報もメーリングリストも(ほとんどの場合は)同じだ。それらにかかわった
途端に、私たちは自分の注意や、時間や、場合によってはお金まで奪われてしまう。
この続きは、次回に。
2024年12月22日
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美