企業とは何か-Appendix③
3.2005年日本語版へのまえがき
本書は、19世紀から20世紀にかけての社会的イノベーションたる企業を内側から見た数少ない
研究である。企業と企業がもたらした組織社会については無数の研究が行われた。
だが、それらのほとんどが企業を外側 から見ていた。
本書ほど企業に大きな影響を与えた本はなかった。それは企業の概念を明らかにした。
本書は戦後の日本にも影響を与えた。事業部制でありマーケティングだった。人間重視だった。
本書の最大の貢献が、企業にとっての時間は「今日」ではなく、5年から7年という長期に及ぶ
との認識だった。ところがいまから10年後、20年後には、GMも日本企業も大きく変わっている
はずである。コンピュータは戦力と構造を変えなかった。変化の起爆剤とはならなかつた。
だが現在進行中のIT革命は違う。それは強烈な変化をもたらす。
そのIT革命と同じように大きな変化をもたらすものが、知識労働者の主役化である。
彼らが最大の資源となり最大の費用となる。
こうして2020年、30年、今後こそ企業は大きく変わる。しかしそれでも、企業の概念とその
力学は、本書が60年前に描写し分析したものとそれほど大きく変わることはないはずである。
2004年12月
カリフォルニア州クレアモントにて ピーター・F・ドラッカー
訳者あとがき
本書は、マネジメントを生んだマネジメントの古典 Concept of the Corporation,1946の
最新訳である。 既訳書に『会社という概念』及び『現代大企業論』『企業とは何か』がある。
処女作『「経済人」の終わり』、第二作『産業人の未来』に続くピーター・F・ドラッカーの第三作で
あって、ドラッカー名著集「P・F・ドラッカー・ エターナル・コレクション」の第11巻として刊行する
ことに なったものである。
マネジメントは、産業社会は社会として成立しうるか、社会的存在としての人間は産業社会に
おいて幸せたり うる かとのドラッカーの問題提起から芽を出し、そのうえに今日の堂々たる
大木へと育った。
それは、道具であることを超えた文化となり、現実に経営に携わる人たちに指針と勇気を与える
存在となった。 何のための企業か。何のためのマネジメントか。企業存続の条件は何か。
企業は、機会の平等と人間の尊厳を実現できるか。
社会のニーズに応え、社会の存続と発展に貢献できるか。しかも今日では、これらの問いは、
企業以外の組織においてもそのまま問われている問いである。
本来経営とは、平常心をもって、しかも胸を張って堂々と行うものである。
大義を探す必要もなければ、不祥事も起こりえようのないものである。
なぜならそれは「世のため人のため」のものだからである。
ドラッカーのマネジメント論が時を超えてますます輝きを増すのは、われわれがつい忘れて
しまいがちな、この当たり前のことを鮮やかに示してくれるからにほかならない。
2007年12月 上田惇生
総括 「企業とは何か」—自問自答している経営者は、数多くいらっしゃると思います。
その反面、売上高のみ追求する経営者、社員のことも考えず私利私欲のみを考えている
経営者も少なくないと思います。
企業とは、「営利」を生みだすことで存続、継続することが重要と思います。
3月末決算期が近づいている企業が多い今日、事業収支をより高めるために日夜遅くまで
働いている企業人の方々。貴方の「夢」の実現は着々と進んでいますか。
「心の豊かさ」を磨くことも忘れないで下さい。「自分だけがよければよい」などと考えず、
力を合わせてチームとして、プロジェクトとして、自分自身を「核」として、考えてみては
いかがでしょうか。視野の広さ、感受性もビジネスには必要です。
私は、この書籍を再読しこのような気持ちになりました。
参考になる個所があまりにも多く、私がこのような形でお知らせしておりますが、是非
購読して下さい。決して古典ではなく、現代にまた今後にも、将来に向けても、十分に参考に
なりえると確信致します。
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美