チェンジ・リーダーの条件②
チェンジ・リーダーの条件■目次
Part1 マネジメントとは何か
1章 マネジメントは理解されていない
□ 現代社会における不可欠の存在
マネジメントとは、事業に命を与えるダイナミックな存在である。
彼らのリーダーシップなくしては、生産資源は資源にとどまり、生産はなされない。
彼らの能力と仕事ぶりが、事業の成功、さらには事業の存続さえ決する。
マネジメントこそ、企業がもちうる唯一の意味ある優位性である。
マネジメントは、おそらく文明が存続するかぎり、基本的かつ支配的な機関として存続する。それは、経済システムの特性、人的、物的な生産資源を託された組織体のニーズを考えれば、必然である。のみならず、マネジメントとは、現代社会の信念の具現である。それは、資源を組織化することによって、人類の生活を向上させることができるという信念である。経済発展が、人類福祉の向上と社会正義の実現の強力な原動力になるとの信念である。資源を生産的なものとすることを託された機関としてのマネジメントは、現代の基本理念を反映する存在である。事実、もはやマネジメントは不可欠である。そのゆえにこそ、ほとんど批判されることなく急速に発展してきた。
□ 経済発展を支える鍵
今後数十年にわたって、アメリカをはじめとする自由世界にとって、マネジメントの能力、真摯さ、仕事ぶりが、決定的に重要な役割を果たすことになる。同時に、マネジメントに対する要求が、急速に、かつ確実に増していく。
今日アメリカが、経済的にも社会的にも世界のリーダーとなっている事実が、マネジメントの仕事を決定的に重要なものとする。頂上から下るのは楽である。頂上に踏みとどまるには、そこにいたるに要した倍の能力と努力が要求される。
□ マネジメントは理解されていない
マネジメントは、その重要度の高さ、目立ち方、発展ぶりにもかかわらず、社会の基本的な機関のうち、もっとも知られず、もっとも理解されていない。
企業のなかの人間さえ、マネジメントが何をしているか、何をすべきか、いかに活動しているか、なぜ活動しているかを知らない。では、マネジメントとは何か。
それは何をするものか。では、マネジメントとは何か。それは何をするものか。
この問いに対しては、通常二つの答えがある。
一つは、マネジメントとは、トップマネジメントであるとの答えである。
この場合、マネジメントはボスで同義である。
もう一つは、人の仕事をマネジメントする者であり、他の人間に仕事をさせることをもって自らの仕事とする者であるとの答えである。しかしこれらの答えでは、誰がマネジメントであるかをいうにすぎない。実は、それすら正しくいっていない。
マネジメントは何か、何をするものかについては答えていない。
この問いに対する答えは、マネジメントの役割を分析することによって、初めて得られる。なぜなら、マネジメントは機関だからである。機関は、役割によってのみ説明され、明らかにされる。マネジメントとは、組織体に特有の機関である。
この続きは、次回に。