ドラッカーとの対話 未来を読みきる力 44
20章 新しき教養人よ出でよ
□ 日本の若い企業人への5つのアドバイス
日本の若い企業人、特に将来経営幹部を目指そうとする人には、とくに次のような点を
力説している。
まず第1に、国際的な感受性を身につけることである。
たとえ海外で働くことがなくても、現在よりはるかに多くの情報を得て、世界を知る必要がある。
そこで重要なことは、語学の問題以上に外国人と一緒に仕事をする能力を
身につけることである。
第2に、継続的に学習する態度を身につけることである。
社会が情報中心となり、企業も知識に依存するようになりつつあるが、知識の進歩は
非常に急速である。したがって大学卒業と同時に学習を終えてしまうのではなく、
何度でも学校に戻るといった継続学習が重要である。
第3番目に、自分は何が得意なのか、自分の強味を知ることである。
学校では自分の弱味を補強することが中心なので、自分で努力して本当に得意なことを
知るべきである。
また、これからますます増加する知識労働者の間では、転職は普通のこととなる。
自分は何を学ぶべきか、スペシャリストとゼネラリストのどちらを目指すのか、よく考え、
自分のキャリアに責任をもつことが重要である。
4番目に、情報について責任を持つことである。自分が仕事をするうえでどの情報が必要なのか、
他人にどの情報を自分から出してやるべきなのかをよく考えることである。そして最後に、
ドラッカーが最近よく口にする「エデュケーテッド・パーソン(教養ある人)」たれということである。
ドラッカーは言う、これからはビジネスマンもマネージャーも、「知識人(インテレクチャル)」と
「経営人(マネージャー)」という2つの文化を自らの内に一体化して生きねばならないと—–。
言葉とアイデアと概念の世界である知識世界と、仕事とアクションと人間関係の世界である
マネジメントの世界の2つを、バランスよく同時にこなすのが、ニュー・エデュケーテッド・
パーソンであるとする。
そのような人々は、地に足がついて知識人であり、トータルに物事が見られる仕事人であり、
グローバルな教養をもつ行動人であるべきだと説く。
また、社会人であり、現実性のある「文人」だとも描写している。
この続きは、次回に。