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知識ゼロからのイノベーション入門-アップル⑥

第13話 ブランドは情熱から生まれる。情熱は伝染させよ。

 

・  会社を「世界を変える場所」にする

 

  アップルは単なるメーカーではなく、世界を変えていく場所でなければならなかった。

  そんな文化を変えたのは、CEOジョン・スカリーが主導した売上至上主義だった。

  アップルは、1992年末にはパソコン業界トップの収益を記録するまでになる。

  しかし、新製品ニュートンの不振やマイクロソフトの躍進などもあってほどなく低迷へと向かい、

  やがて倒産か身売りかというほど追い込まれる。

 

・  使命感はイノベーションの重要要素

 

  ジョブズは、不振の原因を価値観の変化と見ていた。

  金儲けに走ったことで、最も大切な革新的製品づくりを忘れてしまったのだ。

  アップルに復帰したジョブズは「アップルとは、何だろう」と問いかけた。

  それは、既成概念の外で思考し、仕事をこなすだけでなく、コンピュータで何かを

  創造したい人々のことだった。

  ジョブズは、この価値感を「Think Different」というキャンペーンにした。

  消費者には「アップルとは何か」を伝え、社員にはアップルの使命を思い出させる意図だ。

  アップルの財産は、優れたブランド力だ。

  ブランド力は、優れた製品から生まれる。

  製品は、心の底からの情熱がつくる。

  それが、ジョブズの考えだった。

 

第14話 お金に人生は賭けられない。目的は世界を変えることだ。

 

  イノベーションの目的は、お金ではないだろう。

  お金も大切だが、自分のアイデアで製品やサービスをつくり、世の中に貢献することが

  本質的な目的である。

  ジョブズは「お金で買いたいものなんて、すぐに尽きてしまう」と言い、利益を追うよりも

  本当に優れた製品をつくり、イノベーションを起こしたいという思いを強くした。

  ジョブズは、こうした考え方を若い頃のロールモデル(手本)であるインテルの

  アンディ・グローブやヒューレット・パッカードのビル・ヒューレットやデービッド・パッカードから

  受け継いでいる。

 

  「彼らは世界を変えること、成長し続ける企業を築くことに人生を賭けた。

  お金を稼ぐことは、二の次だったんだ」と言っている。

  お金では、イノベーションはできない。

  たとえば、マイクロソフトは、アップルの何倍もの研究開発費を投じながら、アップルの

  真似しかできないとジョブズは指摘している。

  では、何がイノベーションの根源か。

 

  「原動力は、ベンチャースピリットにほかならない」とジョブズは言う。

  永遠の何かをつくり出したいという燃えたぎるような情熱である。

 

 

この続きは、次回に。

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