お問い合せ

「孫子 抜粋」 ④

31. 善用兵者、屈人之兵、而非戦也
    
      善く兵を用うる者は、人の兵を屈するも、戦うにあらざるなり


      本当の戦上手は、武力などを使わずに、敵軍を屈服させるものだ。

32. 用兵之法、十則囲之、五則攻之、倍則分之
     
      用兵の法は、十なればこれを囲み、五なればこれを攻め、倍なればこれを分かつ


      兵力に応じた戦いの原則はこうである。

    すなわち、わが軍の兵力が敵の十倍もあるときは包囲して完全に料理する。
     五倍であれば正面攻撃する。二倍であればこれを二分して敵を挟撃するがよい。

33. 敵則能戦之、少則能逃之、不若則能避之
    
       敵すればよくこれと戦い、少なければよくこれを逃れ、若(し)かざればよくこれを避く

     対抗できるなら戦ってもよいが、もし敵よりも弱かったらさっさと逃げるがよく、

       かなわない相手だったらぶつからないようにすることだ。

34. 小敵之堅、大敵之擒也
    
      小敵の堅(けん)は大敵の擒(とりこ)なり


      弱いくせに強がっていると、優勢な相手にやられてしまう。

35. 将者国之輔也、輔周則国必強、輔隙則国必弱
    
      将は国の輔(ほ)なり、輔、周なれば国必ず強く、輔、隙(げき)あれば国必ず弱し


      将軍は国を統治する君主の輔佐役である。

      君主と将軍の仲がぴったりしていれば国はきっと強くなり、わだかまりがあれば国は

      きっと弱くなるであろう。

36. 君之所以患於軍者三
    
      君の軍に患(かん)となる所以(ゆえん)のものに三つあり


      君主が軍に災難をもたらすことが三つある。
        (と言って次の三項目をあげている。

      1. 進むべきでないのに君主が実情も知らずに進撃命令を下したり、
             退くべきでないのに退けと言ったりすること

            2. 全軍の内部事情を知らずに軍事行政に干渉すること

            3. 全軍の指揮系統を無視して軍令を下すこと

 

37. 知勝有五
    
       勝を知るに五あり


       勝つためには五つのポイントがある。
       (と言って次の五項目をあげている。

        1.戦うべきと戦うべからざるとを知る者は勝つ
             --戦うべきか、戦うべきでないかの判断=トップの意思決定。

          2.衆寡(しゅうか)の用を識(し)る者は勝つ
                      --兵力に応じた運用法、最も効率的な戦い方=システム・アナリシス。

                3.上下の欲を同じうする者は勝つ
                    --後述。

                4.虞(ぐ)をもって不虞(ふぐ)を待つ者は勝つ
                     --「虞」は事前に万全の対応策を練ること、つまり不確定性への対応、
                あらゆる可能性を仮定し代替案を作成しておくべき。

                5.将の能にして、君の御(ぎょ)せざる者は勝つ
                        --後述。

                          )

38. 上下同欲者勝
    
      上下の欲を同じうする者は勝つ

      組織を動かすリーダーは、全員が参加し、やる気を起こすような目標を設定すること。

39. 将能而君不御者勝
    
      将の能(のう)にして、君の御(ぎょ)せざる者は勝つ

     有能な将を任命したら、これを信頼し、細かく干渉してはならない。

 

40. 善戦者、先為不可勝、以待敵之可勝
    
      よく戦う者は、まず勝つべからざるをなし、もって敵の勝つべきを待つ

       戦上手は、まず不敗の態勢を整えたうえで、必勝のチャンスがくるのを待つ。

 

この続きは、次回に。

 

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