お問い合せ

「孫子 抜粋」 ⑤

41. 勝可知而不可為
  勝は知るべくして為すべからず


  勝てることがわかっているとしても、無理矢理勝とうとしてはならない。

 (結果として勝つことはできる。だが勝利とは、こちらが主観的に思ったとおり得られるものでなく、

  また無理矢理勝とうとすべきものでもない。相手がくずれるようにしむけるのが、

  安全かつ完全な勝ち方である。)

42. 不可勝者守也、可勝者攻也
  勝つべからざるは守るなり、勝つべきは攻むるなり


  勝てるだけの条件がなければ守りを固めるがよい。そして、勝てる条件があれば攻撃することである。

43. 善守者蔵於九地之下、善攻者動於九天之上
  よく守る者は九地の下に蔵(かく)れ、よく攻むる者は九天の上に動く


  戦上手は、守りにまわったときは、地底の奥深くひっそりと身をひそめるように

  自分の姿を相手から完全にかくしとおし、攻めるとなったら、天高く飛びまわるように

  主導権をにぎり、相手の動きを見極めて飛びかかるのである。

44. 見勝不過衆人之所知、非善之善者也
  勝ちを見ること衆人の知るところに過ぎざるは、善の善なるものにあらざるなり


  誰の目から見ても、わかりきったような勝ち方は、本当に優れた勝利とはいえない。
  (勝った結果を見て、人々が初めて「そうだったのか」と気づくような勝ち方こそが望ましい。

 
  常識を超えた発想に基づく成功こそが、みごとな勝利である。)

45. 戦勝而天下曰善、非善之善者也
  戦い勝ちて、天下、善なりというは、善の善なるものにあらざるなり


  世間からほめそやされるような勝ち方は、本当に優れた勝利とはいえない。
  (「スタンドプレー」は失敗の可能性を秘めている。

  個人的な働きによる勝利は組織機能に害をもたらす。)

46. 善戦者、勝於易勝者也
  よく戦う者は、勝ちやすきに勝つ者なり


  戦上手は、こちらに有利な状況を作り上げ、あるいは、そうした状況を見届けたうえで、

  無理のない勝ち方をする。

47. 善戦者之勝也、無智名、無勇功
  よく戦う者の勝つや、智名もなく、勇功もなし


  戦上手は目立つような勝ち方はしないから、智恵者だとか勇者だとかほめられることはない。

48. 善戦者、立於不敗之地、而不失敵之敗也
  よく戦う者は、不敗の地に立ちて、敵の敗を失わざるなり


  戦上手は、わが身は安全なところにおき、敵が隙を見せたらすかさず攻撃する。

49. 勝兵先勝而後求戦、敗兵先戦而後求勝
  勝兵はまず勝ちて後に戦いを求め、敗兵はまず戦いて後に勝ちを求む


  十分に勝利の態勢を整えてから戦いを始める者は勝つ。

  戦い始めてから勝とうとするようでは敗れる。

50. 善用兵者、修道而保法
  よく兵を用いる者は、道を修めて法を保つ


  リーダーの機能は、明確な目標を掲げ、組織制度を整えることである。

 

 

この続きは、次回に。

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