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読めば納得! 認知症予防 脳を守るライフスタイルの秘訣⑨

  1. 早期診断の秘訣

 

アルツハイマー病を早期に診断する方法が確立されつつあります。

認知症一歩手前の状態が「軽度認知障害」です。

ここで、先ほどのチェックリストが役立つわけです。

次に、認知機能のチェックが行われます。

改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やMMSEがその代表です。

このような認知機能全般を検査する方法と、前頭葉機能を中心にした検査、画像の認識を

中心にした検査などがあります。

 

他の認知症疾患の診断

 

血液検査では、認知機能を低下させるような電解質(Ca、Na、Kなど)の異常、貧血や肝機能・

腎機能障害、糖尿病、B12などビタミンの欠乏、甲状腺ホルモンの異常などを調べます。

心肺機能もチェックします。

こうして、認知症の原因となる疾患を探します。高齢者では、原因は一つとは限らず、

種々の老化性疾患が合併して影響していることがしばしばです。

 

4-1 どこを受診したらいいの

 

日本老年精神医学会やアルツハイマー病研究会のインターネットホームページには、

専門医などが紹介されています。

日本認知症学会も、平成20年度より学会認定の専門医制度を始めています。

認知症の定義で触れたように、認知症の方は種々の生活困難を抱えています。

ですから、病歴や生活状況をあまり訊かずに、脳の画像所見からアルツハイマー病と診断して、

アリセプトを処方したら診察終了といったタイプの医師ではなく、その人が朝から夜まで

どうのように生活しているかを尋ね、投薬だけでなく、生活改善の指導や介護サービスの

情報提供などをしてくれる医師を受診できるとよいと思います。

認知症では、医療と福祉が家族と一体となってその人を支える体制が必要です。

 

4-2 早期診断できたアルツハイマー病例

 

  1. 早期治療

 

認知症が早期に発見されて診断されると、まだ判断力が残っているので病名の告知が可能となります。

アルツハイマー病の方ご本人を対象としたアンケート調査では、アルツハイマー病になった方の

92%が告知を望むと報告されています。告知によって、治療への意欲が高まります。

また、後見人のことを考えたり、遺産や生活費などへの対応も可能となります。

しかし、かなり落ち込むことも事実なので、告知にはその方をずっと支える覚悟や

周囲の介護・支援体制が必要です。

 

認知症の根本的治療薬がないので、認知症という不自由と共生しながら豊かな人生を送れるよう、

家族だけでなく、医療・福祉を含めた周囲の支援が必要です。

 

  1. 転ばぬ先の杖—-事前指示書—-

 

人間いつかは死を迎えます。そして、長生きすればするほど、認知症のリスクが高まります。

現行の日本の法律では、最期までやれることをやるのが通常の対応です。

米国では、このような認知症終末期の方に対して、基本的には経管栄養を行いません。

認知症が進むと判断力を失い、終末期の医療も他人任せになります。

もし、尊厳ある終末期を迎えたいなら、元気なうちから準備をしておくことを奨めます。

終末期にどうして欲しいか、また自分の判断力が失われたら誰に判断を委ねるのか(代諾人)、

などを事前指示書に書いておきます。

米国で600万人に使われている事前指示書である『Five Wishes』を日本で広めようと、

箕岡真子らが日本の実情に合わせて『私の四つのお願い』として訳しました。

 

この続きは、次回に。

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