1万円起業-12
第13章 大きくなるのはいいこと?
事業を成長させるべきか、させざるべきか。
それが問題だ。
「僕たちは最初に、自分自身がメーカーであり、直接取引をする小売店であろうと決めました。
そのほうが面白いからです。
いわば自分たちのたたくドラムに合わせて更新しているようなものです。
カッコイイ製品、カッコイイ顧客、カッコイイ従業員がそろった、カッコイイビジネスをつくりたい。
自分たちのブランドの確固たる地位を築き、それがずっと続くようにしたい。
でも、それはたくさん売ることとイコールではありません。
自分のたたくドラムに合わせて行進するのはさぞや面白いだろう。
それだけでなく、ビジネスモデルとしてもそのほうがすぐれているかもしれない。
「うまくいかない日や、いやな経験はなかった?」—-この質問へのトムの返事は、私の頭にずっと
こびりついている。うまくいかない日には共通点があります。
何をすべきかが自分でわかっていたのに、誰かの口車に乗せられてそれをしなかったときです」
◽ 自分のビジネスの健康状態は? 見るべき場所はここ
見事に独立を果たしたほとんどの人に、必ず降りかかる難問がある。
「ビジネスの規模をもっと拡大すべきか、小さいままでいるべきか?」
この章のテーマはそれだ。
多くの人があえて小規模なままにしておく選択をして、「自由なビジネス」であることを大切にする。
一方で従業員を増やし、さらなる成長を目指す道を選ぶ人もいる。
どちらの場合であっても、自分たちのビジネスがなぜうまくいっているのかを理解し、
拡大によってそれがさらに活かされるのか、損なわれるかを考える必要がある。
そのために、まずは自分たちのビジネスの状態を把握しておくことが大切。
チェックには、次のような2段階作戦が効果的だ。
・ ステップ①
監視すべき指標を選ぶ。「売上」「キャッシュフロー」「将来の見込み客」などのうち、
大切なものを1つ、あるいは2つだけ選んで、常にチェックする。
・ ステップ②
ステップ1で選んだ指標以外は、すべて隔週か毎月の見直し時期まで放置する。
見直し時期にはビジネス全体を幅広く見直す。
ケーススタディのなかには、まめな人もいれば、そうでない人もいた。
神経質なほどデータを気にする人も大勢いる一方で、ビジネスの状態が「さっぱりわからない」と
いう人もいる(このタイプの人に関する私の意見を言えば、性格や能力は人それぞれだとしても、
財務を誰かにまかせっきりにしてしまうのは心配だ。
金銭面が「さっぱりわからない」というのはいい兆候とはいえない)。
ビジネスの種類によって監視すべき指標は異なる。一般的なのは次のようなものだ。
・ 1日の売上—どれくらいのお金が入ってくるか?
・ 1日の訪問者、または見込み客—店舗、あるいはウェブサイトを見に来たり、詳しい情報を
得るために会員登録などをする人は何人いるか?
・ 平均注文金額—1回の注文でいくらぐらい買っているか?
・ コンバージョン率—訪問者や見込み客の何パーセントが顧客になるか?
・ ネットプロモータースコア—顧客の何パーセントがあなたのビジネスを他人に推奨してくれるか?
この続きは、次回に。