ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学 ③
✔️ 経営学が影響し得る二つのルート
図表1-2は、経営学者の生み出す知がみなさんに伝わり得る二つのルートを示しています。
第一は、経営学の研究で得られた知見が、そのまま直接ビジネスパーソンに伝えられるルートです。
しかし、これはなかなか難しいものがあります。
そこで望まれるのが第二のルート、すなわち経営学の知見を実務に応用しやすいように
「分析ツールに落とし込む」ことです。
その代表は、先にも述べたマイケル・ポーターの「ファイブ・フォース分析」でしよう。
ファイブ・フォースはその使いやすさから、今や経営戦略論の教科書に必ず載っている定番ツールに
なっています。
✔️ 最先端の経営学は、MBAの教科書に反映されない
しかし、この「学術的な知見のツール化」は、ファイブ・フォースなどの限られた例を除けば、
十分に進んでいるとはいえません。なぜかというと、実は経営学者があまりこの「ツール化」に
熱心でないからです。
第2章でも述べますが、その大きな理由は一つは、経営学では「ツール化」が学術業績として
認められないからでしょう。
世界の経営学では、研究によって新しい知を生み出すことが重視されているからです。
SMJのようなトップ学術誌で、ツール化についての論文が掲載されることはほとんどありません。
「基本的なツール」だけがまとめられているのが、ビジネススクールのMBA(経営学修士)プログラムで
使われる経営学の教科書なのです。
✔️ 本書が提供するもの
そして本書の問題意識は、まさにここにあります。
国際標準化が進む経営学で、世界中の学者達が科学的な手法を使いながら日々切磋琢磨して
発展させている「ビジネスの最先端の知」「真理法則に近いかもしれないビジネスの法則」が
果たしてみなさんに全く示唆をもたらさないものでしょうか。
本書を通じて、いわゆるMBA本を呼んでも、ビジネス誌を読んでも、そしてビジネススクールへ
授業を通じても知り得ない、世界最先端の経営学の知見に触れていただきたいのです。
次章では、「この進化続ける経営学の知見って、本当にビジネスの役に立つの?」という疑問に対する
私なりの見解を紹介しながら、世界の経営学について、さらに深く解説していきましょう。
ホームページより抜粋—-
し‐ざ【視座】
物事を見る姿勢や立場。「人道主義的な―で発言する」
ち‐けん【知見/×智見】
1 実際に見て知ること。また、見聞して得た知識。「―を広める」
2 見解。見識。「―を異にする」
3 (智見)仏語。事物に対する正しい認識。また、知識によって得た見解。正智見。
し‐さ【示唆】
[名](スル)《「じさ」とも》それとなく知らせること。ほのめかすこと。
「―に富む談話」「法改正の可能性を―する」
この続きは、次回に。