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リテールマーケティング  ㊿-6

2. チェーンストア業界の基本用語

 

チェーンオペレーション

 

1つの資本で画一化、標準化した多数の店舗を効率的に運営する仕組みを

意味する。本部は、本部集中管理方式を採用してキマリ(ルール)をつくり、

店舗ではキマリどおりに実行するという役割分担により、地理的に離れた

多数の店舗と物流センター、そして、そこで働く多数の従業員を効率的に

活動させるシステムの総称である。

画一的な店舗に加え、業務と作業を標準化することで顧客へのサービスも

標準化できる。製造業のオートメーション・システムの流通業版といえる。

 

ローコストオペレーション

 

ローコストで店舗の営業活動を効率的に行う仕組みを意味する。

仮に、売上高が低くても、それ以上に売上原価と販売費及び一般管理費が

低ければ、利益(営業利益)は確保できる。つまり、売上を増やすことに

努力するよりも、ローコストオペレーションの仕組みを構築するほうが

重要であることを指す用語といえる。売上高がそれほど多くなくても、

儲かる店舗であれば小売店の経営は成立する。

したがって、ローコストオペレーション・システムを構築した店舗をつく

れば、チェーンストアとしての店舗数を容易に増やすことができる。

なお、そのためには、① 標準化政策の徹底、② 物流システムの構築、

③ 商品回転率の向上、④ 従業員の計画的配置、⑤ パートタイム・有期

雇用労働者の活用、といった点に留意が必要である。

 

マーチャンダイザー

 

商品開発に関する決定権を持つと同時に、その商品全般の販売責任を

担っているのがマーチャンダイザーである。

商品供給システムの設計・統制をするクリエイティブライン機能に属する

スペシャリストを意味する。原材料の調達による商品開発から消費までの

マーチャンダイジング活動に関わる責任者である。

 

ディストリビューター

 

主に大手チェーンストアに所属し、物流センターごとに配置され、店舗

ごと、単品ごとの発注量と納品日時とを決めて、本部バイヤーに発注する

職位を意味する。

ディストリビューターは、1人当たりバイヤー5〜10人分の品目を扱う。

バイヤーになる直前の必須配転コースともいわれている。

数量分析の専門スタッフであることから、予測販売量の精度が高まり、

店舗ごとにパートタイマー従業員が発注量を決定するよりも、販売機会

損失の発生を防ぐことができる。

 

スーパーバイザー

 

ストアマネジャー(店長)などに対して、指導・助言・不実行の際の摘発

勧告をするトップ直轄のラインスタッフに属するスペシャリストである。

組織のオペレーションラインに属しているのではないため、マニュアルの

解釈、トップからの重点課題の現場適用などについてマネジメント面での

指導を行う。原則として、店舗の販売員に対する直接的な指導はしない。

 

トランスファーセンター(TC)

 

原則として、在庫を持たない通過型(トコロテン方式)の物流センターを

指す。カテゴリーごとに商品・仕掛り品・材料・消耗品をその日の補充

数量だけ、売場の通路ごとに分類して各店舗へ配送する仕分けセンターで

ある。日本に多くみられるベンダーから小売店への直送方式は、送料が

安く済むと考えがちである。しかし、店舗ごとに荷受、仕分け、補充作業が

常に発生するために、かえって人件費が膨大化する。

それを避けるためにトランスファーセンターが活用されている。

 

ディストリビューションセンター(DC)

 

商品を大量に動かすのに必要な在庫管理施設を指す。常時、多品種多量の

在庫を保有し、加工なども行う総合的物流センターである。

DCの目的は、主に次の2点である。

 

① 各店舗の欠品を減らすために、品目ごとに適時適量在庫を確保する。

 

② 商品または材料の品質(鮮度)を均質に維持し、企業全体として商品管理

     作業にかかるトータル人件費コストを引き下げる。

 

プロセスセンター(PC)

 

主にスーパーマーケットや総合品ぞろえスーパー(スーパーストア)を運営

する企業が設営する、惣菜などの1次加工場と2次加工場を指す。

材料選別から加工、プリ・パッケージ、値札付けまでの作業を一括して

行う。工学的に生産管理方式を採用し、通常は1つのセンターから50〜

200店舗へ出荷する。

 

 

 

 

この続きは、次回に。

 

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