実践するドラッカー[思考編] ㉚
A lesson from P.F.Drucker
∵ 行動によって姿勢を変える
強みを生かすことは、行動であるだけでなく姿勢でもある。
しかしその姿勢は行動によって変えることができる。
同僚、部下、上司について「できないことは何か」でなく「できることは
何か」を考えるようにするならば、強みを探し、それを使うという姿勢を
身につけることができる。
やがて自らについて同じ姿勢を身につけることができる。
『経営者の条件』—p.133,p.134
意識してであれ、無意識にであれ、行動は、何らかの意思によって引き
起こされる脳の活動の結果です。積極的な姿勢は積極的な行動を生み、
消極的な姿勢は消極的行動を生む。その意味で姿勢が行動を生むという
ことができます。
しかし、ここでの教えは逆です。脳をだましながら積極的な行動を積み
重ねると、姿勢も自ずと積極的になってくるというものです。
行動が姿勢をつくる、ということです。
しかも、部下の「できることは何か」を日々考えるようにしていると、
いつの間にか、自分のできることは何かも見えるようになってくるのです。
つまり、自分の強みを伸ばしたいと思うなら、他人の強みを生かすことを
考えよ、ということです。これは、毎日毎日繰り返すキャッチボールの
ような大切な基礎トレーニングです。他人の強みを生かすことを通して、
自らの強みを学ぶ機会としたいものです。
A lesson from P.F.Drucker
∵ 今の仕事で強みを磨く
自らの仕事においても、まず強みからスタートしなければならない。
すなわち自分のできることの生産性をあげなければならない。
「何もさせてくれない」という言葉は、惰性のままに動くための言い訳
ではないかと疑わなければならない。もちろん、誰もが何らかの厳しい
制約の中にいる。しかし、たとえ実際に何らかの制約があったとしても、
することのできる適切かつ意味のあることはあるはずである。
『経営者の条件』—p.130,p.131
不平不満ばかりで生きていく人を「他責の人」といいます。
何か問題が発生しても、他人に転嫁して自分を安全地帯に置こうとする。
そのほうが気は楽かもしれませんが、成長が止まるという重大な副作用を
忘れてはいます。
成長の機会は、自らの仕事とともにあります。過去や未来ではなく、
「いま、ここ」にしかないのです。それが自分のやりたいことかどうかは
関係ありません。目の前の仕事で何ができるか、強みを生かして成果を
出せるかが問われているのです。
「自責の人」であれば、仕事を目の前にしたとき、半分の時間で終える
にはどうすればいいか、顧客全員に喜んでもらうには、というように挑戦
すべき目標をつくって取り組みます。させてもらえないことに不満をいう
代わりに、してよいことでする値打ちのあることを次々にこなします。
単に一生懸命仕事をしているうちは、まだまだです。
これは自分を磨く機会だと、本気でもう一歩踏み込んでみてください。
この続きは、次回に。