実践するドラッカー[行動編] ㉓
A lesson from P.F.Drucker
∵組織から見た情報を得る
自らの仕事ぶりを管理するには、自らの目標を知っているだけでは
十分でない。
目標に照らして、自らの仕事ぶりと成果を評価できなければならない。(中略)
あらゆる者が自らの仕事ぶりを測定するための情報を手にすることが
不可欠である。
『マネジメント<中>』—p.84
一人ひとりの貢献は、組織の成果から見れば部分にすぎません。
そのため、貢献度を直接測ることはなかなか難しいのが現実です。
自らの貢献を評価するには、「直接の成果」「価値への取り組み」「人材の
育成」の三つの領域からなる組織の成果を理解していなければなりません
(『実践するドラッカー[思考編]』九九ページ参照)。
成果の定義を明確にしなければ、貢献の測定はできません。
ある会員制フィットネスクラブを例に考えてみましょう。
年初に新規会員を一○○○人獲得するという組織目標を立てたとします。
これを受けて、マネジャーは三○○人の会員獲得を個人目標に掲げ、「初めて
来店した顧客から住所などの情報を得て、次回来店を促す手書きの案内状を
毎日一○通出す」ことにしました。この場合、どのような情報があれば、
マネジャーは適切な自己評価を行えるでしょうか。
まず、組織の成果を確認します。新規会員は何人獲得できたのか、それは
どのような顧客層か、どのように獲得したのかなど、組織全体に関わる
具体的な情報を入手します。
次に、自分の行動に関わる情報を把握します。
先のマネージャーの行動は、「顧客から住所などの情報を得る」「魅力的な
案内状を送る」「持参してもらった案内状を店頭で回収する」「新規会員の
申し込みをしてもらう」といった要素に分けられますが、これらの行動を
客観的に検証できるような具体的な情報を入手するのです。
例えば、「案内状の回収率」「案内状を持参した来店者の会員化率」などは、
案内状の文章やビジュアル、勧誘トークなどの行動に対する結果を示す
一つのモノサシです。このように、自分の行動を評価できるような情報を
意識して集めましょう。客観的に評価できれば、次に何を改善すべきかも
見えてきます。
組織と自分の仕事(貢献)のつながりを意識して的確な自己評価を行い、
自身の行動と結果に責任をもつ。これは成果をあげる人すべてに共通する
特徴です。
実践ノート⑤
自分の強みや得意分野を軸とした、5年後の理想の姿を書いてください。
—-hint—-
■ 卓越した分野は何か
■ 卓越性を得たとき、自分自身にどんなキャッチフレーズがつくか
■ 『実践するドラッカー[思考編]』57および実践シート⑦参照
実践ノート⑥
組織の成果とあなた自身の貢献を確認し、5年後の理想とする貢献の範囲や
レベルを具体的に書いてください。
—-hint—-
■ なすべき貢献は何か
■ 現状に縛られて目標水準を下げたり、範囲を狭めたりしないよう気を
つける
■ 『実践するドラッカー[思考編]』99,p.110、および実践シート⑫参照
実践ノート⑦
実践シート⑤⑥の回答を前提に、今年・今月・今週、集中して取り組む
目標を一つ挙げてください。
—-hint—
■ 測定可能な形で具体的に目標化する
■ 長期の理想を明日のアクションに変える
この続きは、次回に。