「人を動かす人」になれ! ③
2. 能力の差は五倍でも、意識の差は100倍まで広がる
● このエピソードに当てはめると、個人の能力の差なんて五倍も違わない。
他店と同程度の料金で五倍の美味しいラーメンをつくったり、五分の
一のスピードでお客にラーメンを出すのはまず不可能だ。
だが、店員の意識を変えることによって、お客の気分を一○○倍よくする
のはそれほどむずかしいことではない。この店が繁盛しているのは、
ズバリ店員の意識の高さ、すなわち経営者の意識の高さである。
恐らく、このラーメン屋の経営者はラーメンの味にこだわる以上に
店員の意識改革にこだわっているのだと思う。
わたしの人材に対する考え方もこれとまったく同じ。
能力の高い人を採用するというよりも人並みの能力を持つ人材を採用
して、彼らの意識を高めることに傾注する。
わが社が創業二五年で、売上高二六○○億円の企業グループに成長した
要因はここにある。
人を動かし、ビジネスに成功する原理原則がこのなかに凝縮されている。
● 意識改革
意識改革とは、仕事を行う上や組織で働く中で考え方や態度などを変え
るという意味で使われます。これまでの業務の取り組み方や優先順位の
付け方、意思決定における判断基準などの意識を変えていくことで、最初は
意識からですがそれが習慣となり行動も伴って変わって行きます。2020/05/28
● 傾注
精神や力を一つの事に集中すること。「全精力を―する」
● 原理原則
原理も原則も、基本的な決まり・規則の意。
重ねることでその意味を強調した言葉。
「―に従う」「天下り禁止の―に反する」
● 凝縮
こり固まってちぢまること。趣旨・内容などを一点に集中させること。
「作者の心情がこの一行に―されている」
3. 相手が苦しみ、悩んだときこそ、リーダーシップを発揮しろ!
● これまでの日本の社会、そして会社を構成する人たちは偏差値、すなわち
IQ値(知能指数)の高い人材を重宝してきた。
それは、IQの高さがイコール尊敬につながり、これで人を動かせると
いうイメージが定着していたからである。
いまでも一部にそうした考え方が根強く残っているところもある。
とくに権威を重んじる分野ほど、そういった傾向が強い。
しかし、一般の企業では経済環境の激変や大改革、経営そのものの
複雑化によって、こうした従来のイメージが根底から崩れつつある。
たとえば、以前の工場の主役は機械や設備だといわれたが、
これからは働く人を主役にしなければ工場として通用しなくなる。
また、かつては商品そのものの性能や機能ばかりが重視されたが、
今後は総合的なサービス、安全性や安心感、話題性や価格などが
購買を左右する大きなポイントとなってくる。
これと同じように、企業が求める人材も「知能」だけの優秀さから、
人間としての総合的な「感性の豊かさ」を重視する方向へと転換させ
ていく必要がある。なぜなら、感性豊かな人材でなければ、リーダー
シップを発揮することができないからだ。つまり、IQだけでは人を
動かせないということである。
では感性の豊かさとは何か。これを一言でいえば、行動や言葉によって
相手を感動させたり、感激させることである。相手を感動させたり感激
させたりするには、まず自分自信がそれをたくさん経験しておく必要が
ある。人間の感情表現の手段である喜怒哀楽は、これを経験した人だけ
にしかわからない。大きな喜びを味わったことのない人に、他人の
喜びの大きさを理解しろといっても無理だし、苦労したことのない
人間に相手の苦労をわかってやれというのは無茶な話だ。
相手と喜怒哀楽を共有することで共感や共鳴を呼ぶ、あるいは部下が
苦しんでいたり、悩んでいるときには、それを深く読み取り、進んで
救いの手を差し伸べる。OA化やFA化が進展すればするほど、こうした
人間的な面がより強く求められるようになる。
IQ値は持って生まれたものが大部分を占めるが、EQ値(感性指数)は
自分の努力によって高めることが可能である。
わたしはわが社の技術者には、「たまには小説を読んだり、美術館にも
足を運べ」とか「技術バカにはなるなよ」とよくいう。
これは近い将来、メカよりも人間に興味を示す技術者が大きな成果を
あげる時代が、必ずやってくると信じているからである。
● 偏差値
偏差値とはある集団の中での自分の位置を示すものです。
たとえ科目が変わっても(平均点、受験数が異なっても)公平に「あなたは
全体でこのくらいの位置にいます」と示しているが偏差値です。
「平均点が低い科目」と「平均点が高い科目」の点数自体を比較しても、
どちらが良い結果なのか判断がでません。ですので、”統計的にあなたは
ここくらいの位置にいます”と示してくれるように便利にしたものが
偏差値です。
● 重宝
便利で役に立つこと。便利なものとして常に使うこと。また、そのさま。
調法。「使いやすく―な道具」「―している辞書」
● 権威
1. 他の者を服従させる威力。「行政の―が失墜する」「親の―を示す」
2. ある分野において優れたものとして信頼されていること。
その分野で、知識や技術が抜きんでて優れていると一般に認められて
いること。また、その人。オーソリティー。
「―ある賞を受賞する」「心臓外科の―」
● 喜怒哀楽
人間のもつさまざまな感情。
喜び・怒り・悲しみ・楽しみの四つの情のこと。
● 共感
他人の意見や感情などにそのとおりだと感じること。また、その気持ち。
「―を覚える」「―を呼ぶ」「彼の主張に―する」
● 共鳴
他人の考えや行動などに心から同感すること。「主義に―する」
● OA化
OA化とはOffice Automationの略であり、直訳すれば「事業所、事務所の
自動化」となります。具体的には事務所で行われる業務をコンピュータや
コピー機、FAX、プリンターなどの機器を使って自動化することを指して
おり、その大きな目的は事務的な業務の効率化にあります。
● FA
FAとは、コンピュータ制御技術を用いて工場を自動化すること、または
自動化に使われる機器のことをいいます。自動化は生産工程の一部では
なく、工場における受注、設計、検査、出荷の全体に渡って総合的に
自動化することを指します。
● EQ値
これは、Emotional Intelligence Quotientの略で、IQが「知能指数」を
表す一方、「心の知能指数」と言われる能力を表す言葉です。
人間関係を構築するための重要な能力で、友人関係や就職活動、仕事での
能力などに大きく関わってきます。2016/12/27
この続きは、次回に。