お問い合せ

Coffee Blake-令和3年11月24日(水)「官僚」②

読売新聞 2021年(令和3年)11月23日

 

ニッポンの統治 危機にすくむ2

 

雑務で激務、離れる人材

 

家賃が月50万円程度とされる高級マンションに住み、高級外車を複数台

所有する。そんな生活のために、新型コロナウイルス禍で苦しむ事業者を

救済するはずだった給付金がだまし取られた。

逮捕された若手官僚が取り調べで放った一言に、警視庁の担当者は驚いた

という。「国が金をばらまく制度。もらえるものはもらっておく」。

国の統治を支える官僚のモラルは微塵(みじん)もなかった。

 

崩れゆく官僚のモラル

 

不祥事のドミノ

 

 

経済産業省の官僚が同省の制度を悪用して約1500万円を搾取した前代未聞の

不祥事。若手2人の逮捕で6月に家宅捜索を受けた経産省では動揺が広がった。

「あんな連中と一緒にしてくれるなという気持ちがあるかと思います。

しかし私たちへの信頼が揺らいでいるのが現実です」。

安藤久佳次官(当時)は職員への一斉メールで訴えた。

「他の官僚は真面目にやっていると反論できる段階を超えてしまった」(元同僚)。

同省は2019年にも若手が覚醒剤の使用で逮捕された。

警察幹部は「経産省は元気のいい人材を元来好むが、官のなり手減少で

劣化している」とみる。

「常に大局的な見地で国家にとってなにが最善かを考えている」。

社会学者エズラ・ボーゲル氏が「ジャパン・アズ・ナンバーワン」で

絶賛した戦後日本の官僚はどこへ行ったのか。

元官僚で情報経営イノベーション専門職大学学長の中村伊知哉氏は

「官僚に求められる仕事が小さくなった」大量の資料作りに時間を割かれ、

政策立案機能が落ちた」と語る。

「国会議員の地元向けの挨拶文を書かされた」「無駄とわかり切っている

資料を官邸指示で作らされた」–。

若手にとって政策で国を動かす官僚像は遠い過去だ。

 

20代退職4倍増

 

一方で職場は時代遅れの「ブラック」のまま。

入省5年で辞めた元経産官僚は「残業が月70〜80時間だとヒマと思われ、

さらに50時間増えた」と語る。

厚生労働省で21年1月の残業が過労死ラインの月80時間以上だった職員は

398人。雑務に追われ、モチベーションは下がるばかりだ。

若手はそんな霞ヶ関から離れていく。

21年度の国家公務員総合職の採用試験の申込数は前年度比14.5%減の1万

4310人で減少率は過去最大。19年度に辞めた20代キャリア官僚は87人で

13年度の4倍だ。

海外は優秀な官僚集めに工夫を凝らす。

シンガポールではボーナスが経済成長と連動し、高級幹部の年収は1億円を

超す。「民間に遜色しない条件を保証して人材を確保しなければ、小国の

国家運営は立ちゆかない」(リー・クアンユー元首相)との考えからだ。

「おれたちは国家に雇われている」。

高度成長を支えた通産省(現経産省)を描いた小説「官僚たちの夏」の

主人公はそんな信条を胸に、国のためには大臣への直言も恐れなかった。

コロナ禍やエネルギー不足、アジアの安全保障、長引く景気低迷など、

日本が直面する不安のタネは増えている。

官僚が本来の力を発揮すべき危機的状況なのに、目立つのは無気力や

無力感ばかりだ。そんな霞ヶ関の機能不全をどう立て直すか。

真剣に国民的議論をすべき時が来ている。

 

● 統治

 

まとめおさめること。特に、主権者がその国土・人民を支配し、

おさめること。「一国を―する」

 

● 微塵

 

量や程度がごくわずかであること。「―の敵意もない」「―も違いがない」

 

● モラル

 

モラルとは、倫理や道徳意識という意味である。 わかりやすく言うと、

日常生活に即した道徳的に正しい行動のことで、世代や状況によって

変化するマナーとは異なる、普遍的な基準ということである。

法的な根拠を持たない、道徳的、倫理的な基準である。

また、人間関係における善悪を判断する感性という意味も持つ。2020/08/05

 

● ドミノ(ドミノ現象)

 

ドミノ倒しのように、ある出来事がきっかけとなって同種の出来事が

次々に起こること。ふつう、悪い出来事についていう。

 

● 前代未聞

 

これまでに聞いたこともないような珍しく変わったこと。

また、たいへんな出来事。▽「前代」は現在よりも前の時代、過去。

「未聞」は、まだ聞いたことがないという意味。

 

● 不祥事

 

不祥事(ふしょうじ)とは、一定の社会的な地位を持つ個人または団体

などが起こした、社会的な信頼を失わせるような出来事である。

主に今日のマスメディアにおいて用いられる単語である。

醜聞(しゅうぶん)、スキャンダル(英: Scandal)などとも言う。

なお、「」は「めでたい」という意味で、否定接頭辞を冠した「不祥」は

「めでたくない」という意味であるため、元々「不祥事」は「めでたく

ない出来事」という意味になる。

 

● 劣化

 

性能・品質などが低下して以前より劣ってくること。「画質が―する」

 

● 大局的

 

物事の全体を見渡すさま、部分部分ではなく全局面を概括に俯瞰して

状況や動きを捉える様子を意味する語。 巨視などとも言う。

 

● 見地

 

物事を考えたり論じたりする場合の、よりどころとなる立場。観点。

「教育的な―に立つ」

 

● ジャパン・アズ・ナンバーワン

 

日本人が日本特有の経済・社会制度を再評価するきっかけのひとつとなり、

70万部を超えるベストセラーとなるなど、一世を風靡した。

現在でも、日本経済の黄金期(1980年代の安定成長期、ハイテク景気〜

バブル景気)を象徴的に表す語としてしばしば用いられる。

 

● ブラック企業

 

労働条件や就業環境が劣悪で、従業員に過重な負担を強いる企業や法人。

長時間労働や過剰なノルマの常態化、セクハラパワハラの放置、法令に

抵触する営業行為の強要といった反社会的な実態がある。ブラック会社。

ホワイト企業

[補説]こうした企業は、もっぱら組織の利益を優先し、従業員の人格や

人権には顧慮しない。新卒者や第二新卒者など若年層を大量に採用するが、

適切な教育を行わず、一部の役に立つ人材だけ残して大半を退職に追い

込むなど、使い捨てにする。そのため、社員の平均勤続年数は短く、

離職率が高い。

 

● モチベーション(motivation)

 

1. 動機を与えること。動機づけ。

2. 物事を行うにあたっての、意欲・やる気。または、動因・刺激。

  「―が上がらない」「高い―を維持する」

 

● 遜色

 

他に比べて劣っていること。見劣り。「入賞作に比べても―のない出来だ」

 

● 小説「官僚たちの夏」

 

官僚たちの夏』(かんりょうたちのなつ)は、城山三郎による日本

小説。『週刊朝日』に『通産官僚たちの夏』のタイトルで連載された後、

1975年に新潮社より改題単行本化された。異色の官僚と言われた佐橋滋

モデルに、高度経済成長を推進した通産官僚たちの姿を描く。

本作は2回テレビドラマ化されており、1996年1月にNHKの『土曜ドラマ』枠で、

2009年7月から同年9月までTBSの『日曜劇場』枠で放送された。

 

● 信条

 

 堅く信じて守っている事柄。「独立自尊が私の―だ」

 

● 直言

 

思っていることをありのままに言うこと。また、面と向かって直接に

言うこと。「欠点を遠慮なく―する」「社長に―する」


 

官僚の方々の大変さを再認識致しました。

 

どうにか、〝見直し推進〟で〝働きやすい環境〟と〝節度ある待遇〟を

検討していただければと思います。

官僚を志す人たちが減少している中、やはり、〝国力〟にも多大な影響を

及ぼすと私も感じました。

 

少子高齢化の進む中で、各省庁で活躍する官僚の高齢化は防ぐべきで、

〝組織の活性化〟は、どこでも必要ではないでしょうか。

 

 

2021.11.24

株式会社シニアイノベーション

代表取締役 齊藤 弘美

 

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