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「人を動かす人」になれ! ㊿+31

86.社内結婚をしたくなるような会社にする

 

会社によっては社内恋愛や社内結婚をあまり好ましいこととは思っていない

ところもあるようだが、わが社ではこれを奨励しており、ほかの会社と

比べても社内結婚の比率はかなり高い。そして、わたしも幹部社員も喜んで

仲人を引き受ける。

奨励するかしないかは別にしても、そもそも「社内結婚だけはイヤだ」と

いうような職場や会社に未来はあるのだろうか。

たとえば、女性社員が同じ職場で働いている男性社員にまるで魅力を感じない。

ましてや結婚しても将来に不安が残るだけで、プラスになりそうなことは

何もないというのであれば、何をかいわんやであろう。こんな社員が

取引先やユーザーのところへ行って好感を持たれるはずがない。

わが社で社内結婚を奨励している理由はほかにもある。

わが社で勤めた経験があれば、社内事情をよく理解してくれているので、

少々帰りが遅くなったとしても、浮気をしているのではないかとか、

こんな時間までどこで遊び歩いているのだろうといった、トラブルの

元になるような心配もかけなくて済むということである。

かつてわたしが社員を叱りまくっていたときには、こんな効用もあった。

少し薬が効きすぎたかなと思ったようなときには、彼の自宅に電話を

入れて、わが社の社員だった奥さんに、「今日は、ちょっと怒鳴りすぎて

しまった。家に帰ったらたぶん機嫌も悪いと思うし、ひょっとすると

辞めるといい出すかもしれない。

いつものことで申し訳ないが、よろしく頼む」といえば、これで通じた。

また、こんなエピソードもある。かつて男性社員が結婚すると聞くと、

わたしは相手の女性に合わせてほしいと頼み込む。そして、まるで社員の

父親のような顔をして初対面の相手に会い、日本電産はこんな会社だから、

朝は早いし、夜も何時になるかわからない、忙しいときには徹夜になる

ことだってある。しかも、社長のわたしが社員のことをボロクソに叱って

ばかりいる、といった説明をした。

いまは、これと同じことをわたしに代わって幹部社員がやっている。

人を動かそうと思えば、ここまで社員にかかわって行かねばならない。

たとえば、部下が残業をイヤがってやらないというのは、本人のやる気や

意志だけの問題ではなく、家庭内の問題の場合もある。

このあたりのことに目をつぶったままで、指示や命令を出してみたところで、

人も組織も動くはずがない。

 

● 奨励

 

ある事柄を、よいこととして、それをするように人に強く勧めること。

「貯蓄を―する」

 

● 効用

 

使いみち。用途。「うその―」

 

 

この続きは、次回に。

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