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Next Stage 令和4年3月4日「デンシバSpotlight」

日経新聞 2022年(令和4年)2月21日夕刊「デンシバSpotlight」に

〝競争力の源泉は「人材」〟の記事が掲載されておりました。

 

私が社会人時代は、経営の三大資源は「ヒト、モノ、カネ」。

特に〝ヒト〟は最も重要です。

〝ヒト〟で、〝モノ〟が生まれ、〝カネ〟に変わります。

現代は、昔に比べて〝ヒト〟の重要性が低下しつつあるように感じます。

ある一部の職種や大企業では〝ヒト〟の重要性が維持されているとは

思いますが、中小企業等では〝ヒト〟に費やす研修費用や福利厚生費等の

費用は、縮小傾向にあるのではないでしょうか。

 

それでは、記事をご紹介致します。

 

2022.3.4

株式会社シニアイノベーション

代表取締役 齊藤 弘美


 

デンシバSpotlight

 

競争力の源泉は「人材」

 

 

ヒト、モノ、カネは経営の三大資源といわれます。

中でも今、ヒト(人材)への注目が急速に高まっています。

人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、企業

価値向上につなげる人的資本経営を表明する企業が国内外で増加して

います。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展や、新型コロナウイルスの

感染拡大などで経営環境は大きく変化しています。

先が読めない時代だからこそ、競争力の源泉である人材に注目が集まって

いるようです。女性管理職比率や離職率など、人材の活躍・育成状況の

情報開示を求める動きが広がっていることも理由のようです。

三井化学は今年4月、安藤嘉規専務執行役員をCHROに就けました。

CHROは「Chief Human Resource Officer」の略で最高人事責任者のこと

です。同社は昨年、長期経営計画をまとめ、2030年度の連結純利益を

2倍近い1400億円に伸ばすといった目標を定めました。

目標達成を担う社員をどう育て活躍の舞台を整えるのか、人材戦略の立案・

実行に責任を負います。

人材重視の動きは他社でも顕著です。

資生堂は1月に人事部を解消し、人財本部を設けました。採用や育成、

給与管理といった従前の雇用管理に加えて、社員データの分析やDX

活用を通じて変革期を担う人材強化に努めます。

中部電力も4月に社長直轄の人財戦略室を新設します。

 

人的資本経営に関心高まる

 

働き方改革や女性活躍推進など、企業は人事施策の見直しを進めてきました。

ただ人的資本経営へのシフトはそうした流れとは別です。

デトロイトトーマツグループ執行役員の田中公康氏は「経営戦略と強く

結びついているのが特徴。企業価値を高めるためにはどんな人材が必要

なのか。経営戦略から逆算して人材戦略を立てようとする動きです」と

説明します。

背景にあるのは産業構造の変化です。2次産業が主流の時代は、いかに

早く安く生産するかが企業の競争力の源泉でした。

今は「何を」作るか、創造性と革新力が問われます。

これらは製造装置のような有形資産からは生じず、人材などの無形資産

から生まれます。米国S&P500社の市場価値を分析すると、その約9割は

無形資産が生み出しているといわれます。

政府も人材を中心に捉えた経営を注視します。

経済産業省は人的資本経営の実現に向けた企業向けガイドラインを年度

内にまとめます。上場企業には人的資本に関する情報開示を求める意向で、

開示項目や手法の議論も始まりました。

「欧米では情報開示を義務付けるルールが整備され、人的資本経営の中身は

投資対象とするか否かの判断材料にもなります。

日本企業も今後は、成長に結びつく人材戦略を立てて実行することが

求められます」と田中氏は指摘します。

 (編集委員 石塚由紀夫)

 

● デジタルトランスフォーメーション(DX)

 

「DX(Digital Transformation/デジタルトランスフォーメーション)」

とはなんなのか。まずは、言葉の意味からおさらいしていきましょう。

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は、2004年にスウェーデン

のウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念。

その内容は「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていく」

というものです。

言い換えると、進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活を

より良いものへと変革すること”

「Digital Transformation」を直訳すると「デジタル変換」という言葉に

なりますが、変換”というよりも“変革”という言葉が鍵になります。

ただし、DXが及ぼすのは単なる「変革」ではなく、デジタル技術による

破壊的な変革を意味する「デジタル・ディスラプション」。

すなわち、既存の価値観や枠組みを根底から覆すような革新的なイノベ

ーションをもたらすものです。

 

● 進展

 

事態が進行して、新たな局面があらわれること。また、物事が進歩・

発展すること。「事件が意外な方面に―する」「医学のめざましい―」

 

● 源泉

 

物事が発生してくるもと。「活力の―」「知識の―」

 

● CHRO

 

1. CHROとは、「Chief Human Resource Officer」の頭文字を取った

   もので、訳は「最高人事責任者」。以下のような「CxO」のひとつ

   です。

 

 CEO(Chief Executive Officer)=最高経営責任者

 COO(Chief Operating Officer)=最高執行責任者

 CFO(Chief Financial Officer)=最高財務責任者

 CIO(Chief Information Officer)=最高情報責任者

 

日本で一般的に使われる「代表取締役」「人事部長」などはポジションを

表しますが、CxOは責任の所在を表す言葉です。

つまり、CHROは、「HR(人事)」に関する最高責任を持つ人

経営者レベルで戦略人事を実行する権限を持つ人」と言い換えてもいい

でしょう。

日本企業ではCHROではなく「取締役人事部長」「執行役員人事部長」と

いった名称が使われることも多いようです。

また、日本では「CHO(Chief Human Officer)」という表現も見られ

ますが、これは日本CHO協会の運営主体である株式会社パソナの登録

商標です。 

 

1-2. CHROの主な役割

CHROは経営幹部の一員。CHROは、CEO(最高経営責任者)、

CFO(最高財務責任者)と経営のトライアングルを担うともいえる、

CEOの右腕的存在です。

経営資源の基本は「ヒト・モノ・カネ・情報」です。

CHROはそのなかの「ヒト」を統括する立場から、経営戦略の立案に

携わり、人事戦略を立て、それらの実現に向けて最適な人事を行って

いきます。

また、CHROは経営幹部と現場の橋渡し役でもあります。

人事の側面から経営戦略を現場に浸透させつつ、現場の意見を経営幹部に

伝え、経営に反映していく役割も担います。

 

1-3. 人事部長との違い

一般的な人事部は、主に採用や育成、人材管理に関する業務を担い、

企業価値の最大化を目指します。評価、報酬、福利厚生、社員の満足度

なども重点課題ですし、労務管理やさまざまな制度変更への対応など、

バックオフィス的なオペレーター業務も多くあります。

この人事部の責任者が人事部長であることから、多くの企業では実務家

としての能力が問われ、経営的な視点や提言を求める企業は多くないよう

です。人事部長もCHROも、人事労務のプロフェッショナルであることに

変わりはありませんが、「経営視点の有無」が大きな違いになります。

 

2. CHROに求められる背景と現状

 

経営視点と人事視点の両方を備えるCHROが求められるようになった

背景には、社会環境やビジネス環境の変化があります。

 

2-1. 企業にとって「ヒト」が最も重要な経営資源

経営資源の「ヒト・モノ・カネ・情報」のなかで、最も重要なものは

「ヒト」です。ヒトなくして事業は成立しません。優秀な人材を獲得・

育成し、大きな利益を生み出してくれる環境を構築することは、重要な

経営課題です。

しかし、日本は少子高齢化による労働力人口の減少が見込まれています。

「日本の将来推計人口」によると、生産年齢(15~64歳)の人口は

2029年には7,000万人を割り、2040年には6,000万人を割る見込みです。

政府が主導している働き方改革についても、女性やシニアの活用、長時間

労働の是正など、企業ごとにクリアしなければならない課題が山積して

います。終身雇用は崩壊し、人材の流動性も高まっています。

こうした社会環境で経営資源である「ヒト」を確保し続けていくには、

戦略的な取り組みが重要になります。

参考:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」

 

2-2. 経営判断のスピード化が必須

現代では、グローバル化、顧客ニーズの多様化、ITテクノロジーの進化

など、ビジネス環境の変化に対して、柔軟かつスピーディーに対応して

いかなければ、企業間競争に生き残れません。経営判断や人事戦略にも

スピード感が重要になります。

さらに、現在は新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、企業では

経営戦略の軌道修正、それに伴う雇用調整、テレワークの推進等にも

迫られています。こうした危機的な局面でもCHROの活躍は期待されます。

 

● 顕著

 

際立って目につくさま。だれの目にも明らかなほどはっきりあらわれて

いるさま。「―な業績」「徴候が―に現れる」

 

● 変革期

 

企業や社会において、変革が盛んに行われている、または行われるべき

時期のこと。

 

● 変革

 

変えて新しいものにすること。また、変わって新しいものになること。

改革。「認識の―を迫る」「制度を―する」

 

● 2次産業

 

日本における第二次産業は、鉱業や建築業、製造業といった業界が

含まれる産業分類のこと。

基本的には自然界から産出した原材料を使って製品を製造・加工します。

なかでも製造業は対象となる製品の幅が広いことが特徴。食料品や衣服、

化粧品といった生活に密着している製品はもちろん、業務用の機械や

航空機なども対象となっています。

 

● 創造性

 

創造的であること。 何かの真似ではない、独自の有用な案を生み出すこと。

また、その度合い。 オリジナリティ。

 

● 革新力

 

より良い成果を出すために仕事のやり方を見直し、改善し続ける

「改善」と定義し、また、コンスタントに斬新な新商品や新サービスを

生み出したり、有望な新事業を立ち上げたり、新市場を開拓したりする

を「革新力」と定義してみよう。2008/10/01

 

● 有形資産

 

有形資産とは、再生産可能な有形資産と、再生産不可能な有形固定資産の

総称であり、総資本形成に含まれる。無形資産に対しての言葉で、物的な

形を有している資産を有形資産、物的な形を有していない資産を無形資産と

言う。有形資産に該当するのは、現金や証券、預金、建物、商品など。

企業においては、会社が所有する建造物やオフィス商品、在庫品、機械

設備、原材料などがこれに含まれる。これらの有形資産に対し、著作権や

商標権、特許権、実用新案権、のれん(暖簾)などは無形資産。

簿記用語としては、財産は、積極財産(資産)と消極財産(負債)に分けら

れており、有形資産及び無形資産は積極財産にあたる。

また国民経済計算体系(SNA)においては、有形資産は在庫品などの「再

生産可能な有形資産」と、土地や地下資源などの「再生産不可能な有形

資産」に分けられている。

 

● 無形資産

 

「無形資産」とは、資産(金銭的に計算することができる財産)の条件は

満たしながらも形の無い資産のことである。

例えば借地権、特許権、商標登録権といった財産上の権利やノウハウなどの

知的資産が無形資産に当たる。ただし、会計において資産計上するには、

売買などによって値段が明らかになっていることが必要。

無形資産には「人的資産」、「知的資産」、「基盤的資産」の3種類が

ある。人的資産はその道に通じた職人技や豊富な知識のことで、当事者が

企業や団体からいなくなった時点でなくなってしまう。

そのため、次につないでいくことが求められる。

知的資産は、著作権や特許権などで長期的な無形資産である。

基盤的資産は、生産体制やノウハウ、経営管理法、人材教育法といった

無形資産を指す。


 

いかがでしたでしょうか。

 

前回の「代表のブログ」でご紹介した〝人を動かす人になれ!〟でも

再三再四でできました「社員教育」「社員研修」等にもつながります。

 

参考資料ですが、

① 日経新聞 2022年1月26日「大磯小磯」〝投資も無形資産の時代に〟では、

 

ある研究によると、米国企業による投資の半分近くが無形資産という。

一方、日本企業ではいまだに有形資産が80%近くを占めている。

産業構造の違いを考えればこれは容易に理解できる。

米国ではGAFAに代表される巨大IT(情報技術)企業が産業の主力となって

おり、巨大な生産設備を多く持たず最大の資産は人であり知識である。

対して、日本では相変わらず工場を抱える旧来の製造業が主力であり、

米国に比べ有形資産が主力に…

 

※ 詳細は、日経新聞「有料会員」登録でご覧下さい。

 

② NHK「欲望の資本主義」2021/11/16

 東洋経済「無形資産」の時代に新しく資本家になる人の特徴

 必要なのは工場でも土地でもない多様な可能性

 

※無形資産=モノとしての実体が存在しない資産。特許や著作権などの

知的資産、人が持つ技術や能力などの人的資産が代表例。

その他、ブランド力などの市場関連資産、顧客情報・顧客基盤などの顧客

関連資産や、企業文化、経営能力、人工知能システムなどのデジタルソフト

ウェアなど、多くの無形資産があると考えられている

 

※ 詳細は、インターネット検索でご覧ください。

 

このように〝ヒト=労働者〟の能力、知識等々が〝無形資産〟として、

決算報告書に計上される時代が来るのではないでしょうか。

 

なお、私のように〝減価償却〟された〝ヒト〟もおりますが、備忘価額

1円以上で是非、計上いただければと思います。

 

 

2022.3.4

株式会社シニアイノベーション

代表取締役 齊藤 弘美

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