ピーター・F・ドラッカー「経営者の条件」㊿+23
□ 自らの成果をあげる
自らの仕事においても、まず強みからスタートしなければならない。
すなわち自らのできることの生産性をあげなければならない。
企業、政府機関、病院に働くエグゼクティブの多くは、自分にさせて
もらえないことについてはよく知っている。
彼らは、上司がさせてくれないことや、企業の方針がさせてくれないことや、
政府がさせてくれないことについて気にしすぎる。その結果、彼らは、
させてもらえないことについてこぼすことによって、自らの時間と強みを
無駄にしている。
成果をあげるエグゼクティブも自らに対する制約条件は気にしている。
しかし彼らは、してよいことで、かつ、する値打ちのあることを簡単に
探してしまう。させてもらえないことに不満をいう代わりに、してよい
ことを次から次へと行う。その結果、同僚等には重くのしかかっている
制約が彼らの場合は消えてしまう。
ある大手私鉄では、トップマネジメントの誰もが、連邦政府が何もさせて
くれないことを承知していた。そこへ、そのようなことは何も知らない人が
経理担当の副社長としてスカウトされてきた。
彼はワシントンへ行き、州際交通委員会に対し、いくつかの新しい事業の
許可を申請した。ほとんどは、「自由にやってください。その他のことは
そちらで試してみた具合によります。うまくいくのであれば正式に許可を
出します」という答えだったという。
この続きは、次回に。