P・F・ドラッカー「創造する経営者」㊿-49
第10章❖事業機会の発見
○ 事業機会を明らかにする三つの問い
機会は見つけるものという。機会はやってくるものとはいわない。
幸運、チャンス、災難が事業に影響を与える。だが、運では事業はつく
れない。事業の機会を体系的に発見し、それを開拓する企業だけが、
反映し成長する。しかも、現在の挑戦や機会に対しいかに体制を整えよう
とも、実現できるものはその可能性をはるかに下回る。
機会は現実に実現されるものを常に上回る。
危険や弱みが事業機会の存在を教える。それらを問題から機会に転化する
とき、異常なほどの成果が得られる。
時にはそのような転化は、マネジメントの姿勢だけでもたらされる。
事業機会は、三つの問いによって明らかにされる。
第一に、事業を脆弱なものにし、成果を阻害し、業績を抑えている弱みは
何か。
第二に、事業を脆弱なものにし、成果を阻害し、業績を抑えている弱みは
何か。
第三に、事業に対する脅威として恐れているものは何か。
いかにすればそれを機械として利用できるか。
○ 弱みを機会に転ずる
なぜ、ある種の企業や産業は、ごく小さな経済変動に対してさえ極度に
弱いのか。なぜ、それらの企業の製品は新製品との競争に負けるのか。
何が企業の能力発揮を制約する要因になっているのか。
これらの問いは簡単に答えることはできない。しかしほとんどのマネジ
メントが、自らの企業や産業の障害、弱み、制約についてかなりよく
知っているものである。
問題は、これらの問いが、稀にしか提起されないことにある。
マネジメントは現状は変えようがないと考える。
「工程上の制約を解決できるものならば、はるか昔にそうしている」が
共通した態度にある。確かに、現在の工程は最先端の知識によるものかも
しれない。しかし何もできないというのは誤りである。
この続きは、次回に。