P・F・ドラッカー「創造する経営者」㊿-98
○ 仕事を具体化する
新事業や、投資や、新製品のための提案は、すべて業績をあげるための
計画に沿って行われなければならない。
そしてそれらの提案は個別ではなくまとめて検討しなければならない。
このことは、特に知識労働についていえる。
そのようにして初めて、それらの提案が、資源の最適利用を実現するか、
正しい機会とニーズに焦点を合わせているかを知ることができる。
また、そのようにして初めて、提案された投資や新製品や新しい活動が、
事業の定義の実現を目指し、企業の目標に沿ったものであるかどうかを
知ることができる。
あらゆる提案が、その目的とする期待を明記しなければならない。
「何が起こると想定しているか。それらの想定は、企業全体の業績を
あげるための計画の基礎となっている想定と、いかなる関係にあるか」
「その投資をしなかった場合、その新しい活動を始めなかった場合、
その新製品を発売しなかった場合、何が起こるか」
実行によってもたらされるであろう最悪の事態を明確にしていない
提案は、検討する価値がない。同じように重要なことが、成功した
場合の結果である。
「もしその新しい事業が成功した場合には、われわれは何をコミット
したことになるか。そのコミットは耐えられるものか」
新しい事業のための提案はすべて、企業全体に焦点を合わせなければ
ならない。その事業自身の成果を知るだけでは十分でない。
企業全体としての経済的な能力と成果に対し、何を加えるかが問題で
ある。
● コミット
「コミット」とは英語の「コミットメント(commitment)」を略した
言葉で、ビジネスシーンでは一般的に「結果を約束する」、「積極的に
かかわる」といった意味合いで使われます。
単純な約束ではなく、責任を持って約束をするといった重みのある言葉で
あるため、使用の際には相応の心構えと取り組む姿勢をもつ必要がある
でしょう。2020/11/18
この続きは、次回に。